ビットコインに比べて大幅に価格変動しやすいアルトコイン。近頃は実社会やWeb3.0領域における利活用の拡大やAIに関する動向を受けて価格を大きく伸ばす銘柄も多々見受けられている。
ここでは今注目すべきアルトコインを列挙していく。
アルトコインの現況
ビットコイン現物ETFやイーサリアムの大型アップグレードなどによる影響を受け、主要銘柄を含めたほかのアルトコインも現在好調に推移している。
もともと暗号資産市場の動きとしては、「ビットコイン→イーサリアム→その他アルトコイン」といった形で資金が流れていく傾向がよくみられる。
なかでも「ミームコイン」と称される暗号資産についてはほかのアルトコインを凌駕する上昇率を記録する場面が度々見受けられる。
このような暗号資産の価格上昇はいわばバブルの象徴ともいえるだろう。しかし、ミームコインは典型的な投機対象としてみられることが多く、ボラティリティも非常に大きくなる傾向があるため、資金を投じる際には注意が必要となる。
Solana
ミームコインとは異なり、今後継続的に注目を集める可能性があるアルトコインがいくつかある。その代表例の1つがまずソラナ(SOL)だ。
記事執筆時点でソラナはテザー(USDT)に迫る時価総額4位にまで上昇してきた。価格は200ドルを超え、日本円換算では30,000円を上回り過去最高値を更新。
この1年間の上昇率は800%を超えるなど、勢いに乗るアルトコインの筆頭格として注目されている。
ここまでソラナに資金が集まっている背景には、DeFiなどでの利活用の拡大があげられる。
ソラナが1秒あたりに処理するトランザクションはほかのブロックチェーンを凌駕し、最大で65,000件にものぼる。ビットコインが1秒あたり約7件、イーサリアムが15件程度であることを踏まえると、その差が圧倒的であることがわかるだろう。
さらに、手数料も非常に安価であることから、かねてより「イーサリアムキラー」の異名を持つことでも知られる。
ソラナは2022年に破綻した暗号資産取引所FTX及び実質的な子会社であったArameda Researchとのつながりが深かったこともあり、一時は9ドル台まで下落する場面もあった。
しかしその後は着実にソラナの利用機会が拡大していき、ついにはイーサリアムを超える取引量を記録する日も出てきた。
今後もソラナエコシステムは当面拡大していくものとみられ、ソラナ上でのトークン発行などがさらに活発に行われれば価格面にもポジティブな影響が出てくるものとみられる。
Avalanche(アバランチ)
また、ソラナと同様にトランザクションの高速処理が特徴であるアバランチ(AVAX)も今後さらに技術面で需要が高まっていく可能性を秘めている。
アバランチは高速処理とセキュリティ性の高さのバランスが取れたブロックチェーンとして知られる。
dApps(分散型アプリ)やDeFiの需要が今後さらに高まっていくことが予想されるなか、この両面に強みを持つという点がアバランチの需要を高めている。
3月7日には、「デュランゴ(Durango)」というアップグレードを実施。これにより、アバランチにおいて重要な役割を担う「サブネット」の連携を強化し、エコシステム全体のネットワークを改善することにもつながるとされている。
直近の価格上昇の大きな要因となったのは、韓国大手ゲーム企業Nexonが手がける人気オンラインRPG「メイプルストーリー」のブロックチェーンゲームバージョンをアバランチ上で構築するという発表であった。
このゲームは「メイプルストーリー・ユニバースN」として開発され、2024年中にリリースすることを目指している。当初はポリゴン(MATIC)ブロックチェーン上で構築する予定であったものの、アバランチの技術やこれまでの実績を考慮し移行することとなった。
今後はこのゲーム開発の進捗に加え、ソラナと同様にアバランチの利活用が進むことが価格を左右していくものとみられる。
Aptos(アプトス)
昨年頃から盛り上がりをみせつつあるアプトス(APT)やスイ(SUI)も今後の展望に注目が集まっているプロジェクトといえる。
この2名柄に共通するのはFacebook(現Meta)のエンジニアが開発したプログラミング言語「Move」を使用している点だ。
また、持続可能性という点でPoSなどをコンセンサスアルゴリズムとして採用している点も同じである。ともにこの数ヵ月の間に日本でも取引が可能となった。
特にアプトスは大手企業らとの提携事例も出てきており、昨年にはMicrosoft、最近では韓国ロッテ子会社との連携強化を打ち出している。アプトスはMicrosoftのAIサービスを活用して機能を拡充したことから、今後もAI関連の動向次第で値動きに注目が集まる可能性もある。
ここで紹介したアルトコインはごく一部だが、実際には今後さらに実社会で利活用が進む可能性を秘めたプロジェクトがある。
興味のある領域に関連して動向を知りたい、応援したいと思うような銘柄があれば調べてみる価値はあるだろう。
なお、イーサリアムとステーブルコインを除いたこれらアルトコインはボラティリティが大きくなりやすい点も特徴だ。特に大手との提携であったり、プロジェクトの不祥事が発覚した場合などは大きく乱高下する場合があるため注意が必要となる。
Column
Noriaki Yagi Editor-in-Chief
Telegramが開発を始めたプロジェクト
「Telegram Open Network」という名称で開発を進められた「トンコイン(TON)」。3月執筆時点では、国内暗号資産取引所BITPOINTが取り扱っている。
2018年にTelegramの創始者であるDurov(デュロフ)兄弟が開発を始めたものの、2020年3月、米国証券取引委員会(SEC)の規制により、TelegramのCEOであるパベル・デュロフ氏がプロジェクトの中止を決定。
現在は「The Open Network」と名称を変更し、TON Foundationという非営利団体が引き継ぐ形で開発・運営をしている。
当初はメッセンジャーアプリTelegramのCEOが主導していただけあって、同プロジェクトはTelegramを介して、ウォレット・dApps・DEX等さまざまな価値体験を提供しているようだ。
活用する機会が多いであろうLINEでウォレット・dApps・DEXが簡単に使えるとなれば、かなりの速度で普及が進むイメージができるのではないだろうか。
「SNS×暗号資産」は長らく注目している組み合わせであり、X(旧Twitter)やDiscordが独自でブロックチェーンプラットフォームを開発するとなったら、こちらも大きな注目を集めるだろう。
Column
Shogo Kurobe Duputy editor
AI関連銘柄としてニアとレンダーの動向に注目
依然として株式市場ではAI関連株の強さが際立っている。それは暗号資産市場においても同様で、昨年頃から特にAIに関連したプロジェクトが敏感に反応する場面が多々見受けられてきた。
AI関連銘柄の動向として、個人的にはニア(NEAR)とレンダー(RNDR)の動向に注目したい。米半導体大手のNVIDIAが主催するカンファレンスに参加するということで、ニアは記事執筆時点で価格を大幅に伸ばしている。
AI関連の学習データプロダクトとして「Near Task」のリリースが近づいているとし、これが後押しした格好だ。
また、レンダーはGPUのリソースを提供しあうことができるプロジェクトで、その際に用いられるトークンがRNDRだ。
その需要は着実に高まっており、価格面においても記事執筆直近で過去最高値を更新している。レンダーは特にクリエイターらを中心に需要を集めるものとみられ、今後加速度的に価格が上昇したとしても、時流を踏まえればなんら不思議ではない。
まとめ
3銘柄において今後価格に影響を与える要因
ソラナ…現在盛り上がりをみせるソラナは、今後もDeFiなどでの利活用が活発に行われるかどうかがカギを握る。また、ソラナを活用したトークン発行も活発になっているため、こちらも注目すべきだ。
アバランチ…アバランチを活用したdApps等の動きが活発になることが重要。また、アバランチ上で構築される「メイプルストーリー・ユニバースN」など、プロダクトの進捗は強く価格面に影響しそうだ。
アプトス…2023年に記録したドル建て最高値の更新に向け順調に価格を伸ばすアプトスは、今後さらにAIに関連した動きや、企業との連携強化に関する動向がカギを握ることになるとみられる。
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