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2024年イーサリアム今後の展望

2024/04/02Iolite 編集部
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2024年イーサリアム今後の展望

イーサリアムの価格はどのような要因で動くのか

大型アップグレードの実施という大きなイベントを終えたことで現在は落ち着きつつあるイーサリアム。しかし、ビットコインと同様に現物ETFの実現に向けた期待感からさらなる価格上昇を見込む声もささやかれる。

ここでは注目の現物ETFの承認動向を中心に触れていく。

イーサリアムの現況

ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアムは、大型アップグレード「デンクン」を終えたことで記事執筆時点では事実売り及び調整段階に入った。

このアップグレードでは特に「プロトダンクシャーディング」という仕組みの導入に注目が集まっていた。これによってイーサリアムのレイヤー2チェーンのガス代が大幅に減り、今後これらのブロックチェーンを活用したDeFiやNFTの利活用が一層進んでいく可能性がある。

実際、イーサリアムのレイヤー2チェーンであるスタークネット(STRK)やBaseなどではガス代の大幅な減少が確認されている。スタークネットにおいては、デンクン実装前と比べ99%もの削減が実現した。

レイヤー2チェーンの動きが活発になることで、今後さらにイーサリアムの需要が高まることも考えられる。

イーサリアム現物ETF

そんなイーサリアムを取り巻く次の大きなイベントは、米国における現物ETFの承認可否だろう。現時点でBlackRockやGrayscaleなどがイーサリアム現物ETFの申請を行っているが、いずれも承認可否を巡る判断は延期されている。

ビットコイン現物ETFがそうであったように、米証券取引委員会(SEC)は慎重に判断する姿勢を崩していない。

ビットコイン現物ETFが承認されたことで、次点で時価総額が大きいイーサリアム現物ETFの誕生を期待する声があがるのは自然な流れであるといえるが、実現にはいくつかのハードルを乗り越える必要がある。

イーサリアムが乗り越えなければならない障害

その1つにして最大の焦点となるのが、イーサリアムが「有価証券に分類されるか否か」だ。SECのゲンスラー委員長は2021年、「ICOを通じて得られた暗号資産は有価証券に該当する」と言及した。

その後、その範囲はPoSをコンセンサスアルゴリズムとして採用している銘柄へと広がり、多くの暗号資産がSECによって有価証券に該当するとみなされた。

2023年には、これらの暗号資産を活用したステーキングサービス等を提供する暗号資産取引所が次々にSECによって提訴されている。

こうしたICOやPoSを採用する暗号資産は、米国において証券法上の投資契約に該当するかどうかを判断する「ハウィーテスト」の対象になるとゲンスラー委員長らは主張しており、これを経て発行されていないものは基本的にすべて未登録の有価証券であると説明している。

ハウィーテストの要件を噛み砕いて説明すると、「第三者の努力によってもたらされたものであるか」「利益を期待したものであるか」「共同事業への出資に該当するか否か」といったものである。

つまり、PoSの仕組みやプロジェクトを通じて利益を得ることに期待することは、証券法上の投資契約に該当するとみなしていることとなる。

イーサリアムも過去にICOを通じて資金調達を行い、今ではPoSを採用した暗号資産である。しかし、SECはイーサリアムが証券に該当するかどうかをこれまで明言してきていない。

正確にいえば、明言できるほど整理がされていないものといえるだろう。なぜほかの暗号資産については証券であると断言されているにも関わらず、イーサリアムは明言を避け続けているかというと、それは規模が拡大し分権化・分散化が進んでいるからだ。

実際、ゲンスラー委員長もかつて教鞭をとっていた際、「分散化が進むことでイーサリアムは有価証券ではなくなる」との立場を示している。

もしSECがイーサリアムを証券であると認めた場合には、米国における多くの暗号資産取引所やサービス事業者が証券法違反に該当する可能性が浮上し、業界内外が大混乱に陥ることも考えられる。

一方、イーサリアムが有価証券に該当しないと判断した際にはほかの暗号資産プロジェクトらから明確な基準を提示するよう求められる。SECはこれらの理由から慎重に決断を下す方針をとっている。

なお、現時点で申請されているイーサリアム現物ETFのなかには、5月に最終の承認可否を下す必要があるものが含まれている。

ここでの判断は実現に向けた試金石として極めて重要であり、万が一否決された場合にはビットコイン現物ETFがそうであったように、イーサリアム現物ETFの実現も数年規模で時間を要する可能性が出てくる。

現時点でイーサリアム現物ETFの5月承認を巡っては意見がわかれている。「5月に承認される可能性は極めて高い」と強気な予想を立てる声もあれば、「承認確率は30%程度」「今年中に承認はない」などといった意見も目立つようになってきた。

その大きな要因がイーサリアムの証券性を巡る問題で、これが整理されない限り実現は難しいものとみられる。

それでも、長期的にみればいずれ承認されるだろうとの楽観的な見方が圧倒的で、現物ETFに関する話題が進展していけば良くも悪くもイーサリアムの価格に大きな影響を与えるものと考えられる。

しかし、直近でいえば5月に承認が否決された場合には大幅な下落となる可能性が十分考えられるため、動向を注意深く見守る必要があるといえるだろう。


Column

Noriaki Yagi Editor-in-Chief

ビットコインをオーバーパフォームするとしたらイーサリアムか

日本時間3月13日23時頃、イーサリアムのアップデート「デンクン」が実装完了。今回のアップデートのなかで注目される主要な要素は「プロトダンクシャーディング(EIP-4844)」だ。

レイヤー2からレイヤー1へのデータ転送コストを削減し、結果としてレイヤー2のユーザーにとっての取引手数料を大幅に引き下げる仕組みであり、長らく課題とされていたスケーラビリティの問題が徐々に改善していることをみれば、イーサリアムにとってはポジティブなことだろう。

しかし、このアップデートが直接価格に大きな影響が与えるかどうかは、また別の話だと考えている。本命は現物ETF承認の可否。

5月に迎える承認期限でイーサリアムの現物ETFが承認される可能性は30%程度であると考えているものの、仮に承認に至るようなことがあれば、サプライズとしてポジティブに働きビットコインのパフォーマンスを越える可能性はある。

2024年前半、ビットコイン半減期要因の押し目につられ、現物ETF承認の延期を材料に押し目を作るとすれば、下限は2,400ドル~2,500ドル付近。上限は2025年夏頃にかけて上限5,000ドル程度ではないかと考えている。




Column

Shogo Kurobe Duputy editor

現物ETF判断は2024年中の「10,000ドル到達」予測の分水嶺に

現時点で現物ETFを巡る動向がイーサリアム価格にとって最も大きな要因になっているといっても過言ではない。

しかし、複数の海外アナリストが指摘するように、現時点でイーサリアム現物ETFを巡る動きが活発になっているとは個人的に思っていない。

それは2021年のビットコイン先物ETF、そして今回のビットコイン現物ETFの両方において、承認観測が早い段階で出ていたことに起因する。

そのため、5月時点での承認の可能性は低く、イーサリアムは1度調整に入るものと考えている。

一方、資産運用会社Bitwiseでは2024年中にイーサリアムが10,000ドルに到達するとの予測も出ている。これはアップグレードに伴うブロックチェーン活動の活性化や現物ETF承認への期待感を織り込んだものだ。

ビットコインの動きを鑑みても、現物ETFが承認された場合、イーサリアムの10,000ドル到達は夢物語ではない。まさにイーサリアム現物ETFの承認可否判断は、この予測を左右する分水嶺となるだろう。


まとめ

今後価格に影響を与える3つの要因

1.ビットコイン現物ETFは承認以降、日に日に資金流入額が大きくなってきている。今後も一定の需要を集めると考えられるが、売りが重なった場合には注意が必要。

2.ビットコインの半減期は中長期的にみると価格に大きな影響を与えるとして注目されているが、マイナーによる資金補填のための売りや機関投資家らの動きに注意。

3.FRBによる利下げ開始時期を巡りネガティブな動きがみられた際には、ハイテク株などと同様に価格が大きく乱高下する可能性があるため動向を注視する必要あり。




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