国内のWeb3.0企業の活動は形を変えて今もなお、イノベーションを推進し続けている。
スタートアップの活動の基盤を支え、レギュレーションを整える自民党web3プロジェクトチーム事務局長川崎ひでと衆議院議員の独占インタビュー。
——4月12日に自民党デジタル社会推進本部のweb3プロジェクトチーム(PT/座長・平将明衆議院議員)が『web3ホワイトペーパー2024』を策定し、公開しました。まず、このホワイトペーパーとはどういうものなのですか?
川崎ひでと(以下、川崎):Web3.0の推進に向けてただちに対処すべき論点、Web3.0のさらなる発展を見据え議論を開始・深化すべき論点を提言するものです。
これまで当PTは2022年3月に『NFTホワイトペーパー』、2023年3月に『web3ホワイトペーパー2023』を策定し、政府に提言してきました。
これらの提言をもとに、2024年4月から法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価課税の適用除外が認められるなど、Web3.0に関連する事業環境や投資環境の改善が進められています。
——正直なところ、非常に先進的なテクノロジーであるWeb3.0に関するPTが2022年から活動していることに驚きを受けました。そもそもこのPTはどのような経緯で誕生したのですか?

川崎:私は2021年10月31日に初当選したのですが、NTTドコモ出身ということもあり、デジタル政策にアンテナを張っていたんです。
すると、デジタル社会推進本部の会合前に、本部長の平井卓也衆議院議員と、のちにweb3PTの座長になる平将明衆議院議員が「NFTって知っていますか?」というような話をしていたんです。
——デジタルアートのNFTや、コレクティブNFTと呼ばれるものが流行していた時期ですね。
川崎:ご存知の通り日本はIP大国・コンテンツ大国なので、クールジャパンの文脈で考えてもNFTという技術は無視できないし、このムーブメントをしっかりと理解して推進することが国の成長戦略につながるだろうと。
そこで平井議員が平議員に「PTを作って精力的に進めていこう」と話していて、私はそれを近くで聞いていました。
——そこからPTが生まれ、川崎さんも参加したのですね。
川崎:私はデジタル政策に関心がありましたし、そのPTに同期の塩崎彰久衆議院議員も参加すると聞いて、そこに携わりたいと思い平議員のもとに押しかけたんです。
同じく同期でフィンテック分野に強い神田潤一衆議院議員も誘い、2022年1月には『NFT政策検討PT』が発足しました。
——NFTのPTを作ってみて周囲の反応はいかがでしたか?
川崎:平議員がTwitter(現X)でPTのことをつぶやいてみると、歓迎する意見や「変な規制を作らないで」といった反対意見も数多くきました。
賛否があるにしても、やはり注目度は非常に高いなと。それ以降、私たちも業界団体やWeb3.0事業を行っている多くの方から話を聞いて、税金の問題や著作権の問題など、解決すべき問題が数多く存在することを理解していきました。
NFTを始めとしたWeb3.0の世界はとにかく変化が早く、世界中で急速に発展していたので、我々も急ピッチで勉強をして、その年の3月には第一弾のホワイトペーパーを公開しています。
普通、こういった政策の提言書を作る際は担当する特定の省庁がいて、提言書自体もたいていは省庁の方と一緒に素案を作っていくものです。
しかしWeb3.0の分野にはそういった担当の省庁が存在していませんでした。そこで、弁護士である塩崎議員のコネクションを活かして、Web3.0分野に詳しい弁護士の皆さまでワーキンググループを作り、PTとワーキンググループで協力してホワイトペーパーを作っていったのです。