自動運転技術の進歩と充電インフラの整備で今までよりも遥かに安全で便利な移動体験に—
エンジンとモーター、2つの動力を搭載しているいわゆる「HV(Hybrid Vehicle)」としてトヨタ「プリウス」が登場して以来、電気自動車(Electric Vehicle)の市場は急速に成長してきた。
2024年には世界で約1,700万台が販売されるとも予測されている。これは、全世界の新車販売台数の20%以上を占める数値だ。
中国、欧州、米国が主要市場であり、それぞれの市場での電気自動車のシェアは45%、25%、11%に達する見込みだ。
これに伴って、充電インフラの拡充は重要な課題となっているが、冷却システムが組み込まれた高出力充電やソーラー充電、無線充電といった技術的な進歩によって、EVの充電はより迅速かつ効率的なものになりつつある。
また、EVがスマートフォン等と連携し、リアルタイムでの交通情報や天気情報を提供するデジタル化が進んでいる。
すでにモビリティとその他のモノの融合が各所でみえ始めているようだ。これにより、運転体験はより便利でインタラクティブなものとなるだろう。
持続可能なモビリティ
米国やノルウェーでは、中古EV市場も活性化。初期のEVユーザーがよりあたらしいモデルに買い替えることで、中古EVが市場に多く出回り、EVの普及はさらに進み、より多くの人々が手頃な価格でEVを購入できるようになってきた。
米国のインフレ抑制法(Inflation Reduction Act)により、クリーンエネルギープロジェクトやEVの購入に対する税額控除や補助金が提供されたことも、市場の活性化を促進している要因だろう。
中古EV市場の成長は、巡り巡ってEVの寿命を延ばし、リサイクルや廃棄物管理の面でも持続可能性が向上しているといえる。
2023年、米国市場で全電動車の45%を占める米テスラのミッションは「世界のエネルギー消費を持続可能なものに加速させること」。
このミッションのもと、同社は電動車と再生可能エネルギーの普及を通じて環境負荷の低減に貢献し、Magnificent Seven(マグニフィセント・セブン)の仲間入りを果たした。
加えて、自動運転技術の開発にも注力しており、AutopilotやFSD(Full Self-Driving)といった機能が提供されている。
これらの技術は、車両の自動運転能力を向上させ、安全性を高めさらに利便性と安全性が理想とされる状態に着実に進化を遂げている。
コネクテッドカーとAI技術の進展
▶︎自動運転のレベル【出典】国土交通省
インターネットや他のデバイスと接続され、データの送受信が可能なコネクテッドカーの普及も進んでおり、ユーザーが導入時オプションに対して追加料金を支払う意欲があるかどうかは別として、車両がインターネットに接続されることで、メンテナンス情報や安全なルートの提案など、消費者のニーズに応える機能も増えている。
また、AI技術がバッテリーマネジメントや自動運転車の安全性向上に利用されており、これにより運転の安全性が向上し、より高度な自動運転車の実現が近づいている。
2024年時点では、レベル2およびレベル3、いわゆる高速道路などの限定された環境で運転操作を完全に車両に任せることができるような自動運転機能を搭載した車両を市場に投入している。
自動運転技術はスマートシティの構築においても重要な役割を持っており、今後のAI技術の進展と各国の法整備により、交通の効率化や事故の減少が期待されるところだ。
中国のEV市場の拡大
先にあげた中国でもEV市場は順調に拡大している。特に欧州市場でシェアを拡大しており、コストパフォーマンスと品質の面で競争力を持つとされている。
充電式バッテリーの製造に特化してBYDは、西安秦川自動車会社を買収し自動車業界に参入。これにより、バッテリーメーカーから自動車メーカーへと転身を図り、同社が手掛けるセダンは欧州の同クラスの車両と比べても優れた性能を持つようだ。
段階的に縮小されてきたものの、中国のEVメーカーの成功は、2009年にNEV(新エネルギー車)を支援する補助金制度を開始し、2012年には初のNEV産業開発計画を行なった政府の強力な支援によって支えられた。
2024年以降のモビリティ領域においては、さらなる技術革新と政策の連携が求められる。EVの普及に伴い、再生可能エネルギーの利用がますます重要となり、クリーンエネルギーがEVの充電インフラと統合され、カーボンニュートラルな交通手段が徐々に現実味を帯びてくる。
これに加えて、高度な自動運転技術レベル4およびレベル5とカテゴライズされる自動運転技術が実用化、スマートシティの構築に向けて、交通インフラのデジタル化が進むことで、交通の安全性は飛躍的に向上する。
また、シェアリングサービス等の利活用による持続可能性が重視され、より環境に優しい交通手段が普及。政府や企業が協力して、低炭素社会の実現に向けた取り組みが加速することになるだろう。
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