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量子コンピュータは人類が創り上げた神器なのか?

2024/07/28 18:55 (2025/04/02 17:59 更新)
Iolite 編集部
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量子コンピュータは人類が創り上げた神器なのか?

量子コンピュータの現在、そして未来を解説

2023年末、量子コンピュータの世界にブレイクスルーが起きた。
専門家たちが叡智を注いできた同領域の未来とは——

私たちの日常に溶け込んだコンピュータは0と1の組み合わせで文字や情報を表現している。コンピュータは電気信号を使って動作し、電気信号の「オン」と「オフ」を0と1で表す。1は「オン」、0は「オフ」だ。

そして、情報交換のための米国標準コードASCIIコード「American Standard Code for Information Interchange」と呼ばれる規格に則って文字や記号は表現されている。アルファベットの「A」は「01000001」といった具合だ。

量子コンピュータとは?

通常のコンピュータが扱うデータはビットと呼ばれる最小単位がいくつも集まって構成されている。1つのビットは「0と1」どちらかの値を取ることができ、通常のコンピュータはこのビットを大量に組み合わせて情報の処理と保存をしているのは前述の通りだ。

量子コンピュータは量子ビットの電子のスピンという性質を使って情報の処理と保存を行う。上向きのスピンと下向きのスピンの2つの状態を通常のコンピュータでいうところの「0と1」のように活用するが、そのまま活用するだけでは通常のコンピュータとは性能が大きく変わらないようにも思える。

ここで出てくるのが「重ね合わせ」と「量子もつれ」という性質だ。

物理学における二大基礎理論の1つである量子力学によると、電子のようなミクロな粒子は、複数の離れた場所に同時に存在し得るとされる。そして電子は、右回りに自転する状態と、左回りに自転する状態を同時に取ることができる。存在だけではなく状態も同時に存在し得る。

「重ね合わせ」はこの量子力学の性質、測定する段階まで上と下が不安定に存在しており、上と下、両方の値を取ることができるという性質を利用する。たとえるならコイントスをした時の空中に存在するコインの表裏のような状態。上下を行き来しているような状態を利用し並列処理をするということだ。

「量子もつれ」は1つのスピンが確定するともう1つの状態が確定するという性質。量子ビット同士が特殊な関係を持つことを利用して、物理的に離れていても、互いに依存した動きを示す。

たとえるならば、左手用と右手用のグローブをランダムに選んでそれぞれに入れた袋を、離れた場所に持っていく。この時、片方の袋を開けて中身が左手用だとわかると、もう片方の袋の中身は右手用であることが瞬時にわかるような原理だ。

これらの特性が、量子コンピュータの強力な並列計算や情報の安全な伝送を行う基盤となっている。

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