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NFTの普及に向け大きな期待が集まっていたMetaの撤退

2024/06/09Iolite 編集部
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NFTの普及に向け大きな期待が集まっていたMetaの撤退

フィンテック部門の責任者ステファン・カスリエル氏が2023年3月にNFTへの取り組みを縮小する計画を発表

2023年3月Meta社のコマース及びフィンテック部門の責任者であるステファン・カスリエル氏が自身のX(旧Twitter)アカウントで、NFTへの取り組みを縮小する計画を発表した。

Meta社では2022年5月に初めてNFT分野への参入計画を正式に発表して以来、一部のクリエイターとNFTコレクター向けに、FacebookやInstagramにデジタル資産の表示や取引ができる機能を試験的に導入した。

同年7月にはサポートを日本を含む100ヵ国に拡大するなど、NFTを「デジタルコレクティブル」という名称で定義し、気軽にNFT作品の投稿ができるSNSプラットフォームを目指し、同分野において積極的に事業を推進していた。

実際に同年11月には12万人のInstagramのフォロワーを抱えるトップクリエイター、ドリフター・シュート氏が、Instagramにてプロジェクトを公開すると、わずか10秒で作品が完売した例など、プラットフォームのNFT取引機能が好調に動いていると考えられていた。

さらにNFTホルダーの間ではInstagramのような巨大SNSプラットフォームによるNFT導入によって、NFTが一気に普及すると期待されていた。

カスリエル氏の声明によると、同社がクリエイターや関連するビジネスユニットのサポートなど、ほかの主要な企業分野に注力するためとしているが、有識者や一部アナリストのなかにはそれ以外の理由があると考えられている。

そのなかの1つがNFT取引高の減少だ。2022年初頭からNFTの取引高はピークを記録していたが、2022年9月までに取引量が98%以上激減したとするデータもある。

これはNFTの平均売却価格も大幅に下落し、関心の低下と市場の飽和を示唆するものと捉えられているが、これらの数字が同社にNFTの持続可能性や実用性についても疑問を投げかけたのではないか。

また、同社が財政難であり、赤字部門の削減を推進した結果だと指摘するアナリストもいる。

Meta社の拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、メタバース・ソフトウェア・プラットフォームに取り組む部門「Reality Labs」が抱える損益は拡大しており、2022年末で合計約137億ドル(約1兆8,367億円)に達している。そのため、すでに同社は運用コストを削減する手段として、2022年11月に11,000人の従業員を解雇している。

さらに同社の支払いと暗号資産事業の元責任者であるデビッド・マーカス氏の辞任も影響したのではとの指摘や、InstagramアプリでNFT取引をした場合、収益の一部をAppleに対して支払わなければならず、こうしたAppleに対する手数料の存在が足かせになったとの指摘もある。

同社創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏は「会社をメタバースの中心的な企業に成長させる」という目標を明確に設定しており、そのメタバースの世界で大きな役割を果たすことが期待されるNFTの普及を目指していたのは明らかで、メタバース事業の損益がNFT事業に影響を与えたという指摘は説得力がある。

いずれの要因があるにしても、同社に当初期待されていたNFT機能の導入は結果的に実現しなかったということである。

Almost

X(旧Twitter)もNFT事業から撤退している

X(旧Twitter)のプレミアム会員加入者はNFTをプロフィール写真に設定し、特徴的な六角形のフレームに表示することで、標準的な円形の画像とは一線を画すことができた。

2022年1月20日に開始されたこの機能はユーザーのデジタル・アイデンティティに信憑性と独自性を与える検証メカニズムも含んでいたが、サポート開始からわずか1年余りでサポート終了となっている。

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