未来型ディスプレイとして今注目されている「空中ディスプレイ」。空中ディスプレイとは、その名の通り、光の反射を利用することで空中に映像をディスプレイさせる技術のことで、空中結像技術とも呼ばれ、特殊なメガネなどを用いず肉眼で目の前に映像を浮かび上げることができる。センサーや触覚を加えることで、空中タッチパネルとしても利用できるため、一般的なディスプレイの進化系として期待されている。
空中ディスプレイのアイデア自体は1997年よりあったもので、研究者の大坪誠氏が光学結像装置に関する「特開平09-005503」を世界で初めて公開。この時は結像光学素子としての機能は不十分であったが、2011年に新技術開発に意欲的だった株式会社アスカネットの協力のもと、空中ディスプレイの実用化に成功した。
2020年にはパリティ・イノベーションズが300mm角のパリティミラー300を発売開始している。当時はコロナ禍の真っ只中で、感染症のリスク低減にもつながる新技術として非接触のタッチディスプレイに期待が寄せられ、多くの展示会で空中ディスプレイが展示されていた。空中ディスプレイの導入メリットとして、当時からあげられていたのが「非接触で操作できる」というものだ。
空中ディスプレイは現物のディスプレイに触れることなく、非接触で操作できるため、衛生面を重視する医療現場において活躍できるだろうとされた。さらに非接触のため、接触部分の除菌などの必要もないというのも医療現場においてはメリットだ。
また、スクリーンがなくても映像が投影されるので、特殊なガジェットなどの設備や準備も必要なく、目の前に実物が存在しているかのように映し出すことができるので、たとえば、新製品の発表会などの現場での活躍も期待できるだろう。