2010年代から急激に成長し、今やゲーム市場のなかでも大きな割合を占めるようになったモバイルゲーム市場。
しかし、徐々に市場が飽和してきており、コンシューマーと同様に開発費が高騰しレッドオーシャンへと変貌している。
成長は鈍化しているものの市場規模は依然大きい
かつてはライトなゲームばかりであると、半ば見下すような扱いを受けていたモバイルゲームだが、近年ではもはやゲーム市場の主役へと成長している。集計方法によって多少の差はあるものの、ゲーム市場全体でみた時のモバイルゲームの市場規模シェアは約50%。知っての通り国内では、コンシューマ出身のゲーム会社も多くのタイトルをリリースしている。
2023年のモバイルゲーム世界市場は前年比98.6%の8兆7,916億円。コロナ禍の2021年に過去最高の市場規模となった後に、2022年には世界全体で収益が9%減少し、2023年も収益規模は減少したものの減少幅は前年をより小さくなっており、2024年以降は再び上向きになると予想されている。
なお、モバイルゲームをプレイするのは日本や中国といったアジアが中心と思われがちだが、実際には市場規模1位は米国で、次いで中国が2位となっている。
2010年代後半からモバイルゲームが流行した背景には、スマートフォンの普及やネットワーク環境の向上といった要因のほかに、ゲーム開発企業側の都合もある。それは、少なくとも2018年頃まではコンシューマゲームよりもはるかに低予算かつ短い期間にスマートフォンゲームを制作できた、という理由である。
モバイルゲーム黎明期は、現在ほどリッチなタイトルはほぼ存在せず、予算数千万円・開発期間1年程度というものも少なくなかった。そのなかから大ヒット作が次々と生まれ、リリースから1ヵ月未満で開発費を回収できるような事例も数多く生まれたのだ。そのため、当時のスマートフォンゲームはブルーオーシャンとして多くのゲーム会社やIT企業が参入する場となった。
しかしモバイルゲーム市場は徐々に飽和してきており、近年リリースされる新作タイトルは予算3億円・開発期間2年以上を要するものも増えている。かつてのように、IT畑の企業が“一発当てる”ような事例はほぼなくなり、売り上げランキング上位のなかでも国内企業がリリースしているタイトルは、コンシューマゲームや漫画・アニメなどのIPモノが増えている。
それでも、スマートフォンアプリの売り上げランキング1位は、現在も月間で50億円ほどを売り上げており、ランキング100位でも1~2億円ほどの売上となっている。6,000円のコンシューマーゲームが10万本売れても売上が6億円(しかもモバイルアプリよりもはるかに販売経費が発生する)であることを考えれば、いかにモバイルゲームが現在のゲーム会社・ゲーム市場にとって重要なものなのかがわかるだろう。