PCゲーム市場は、ゲーム実況配信などによって人気を博すタイトルが多く、長期間ヒットしているゲームが多い。
すでにコンシューマ市場と比較すべきほどの存在で、今後も市場規模は拡大していくとみられる。
年々市場規模を拡大させているPCゲーム市場
ゲーム市場の新興勢力として2010年代から一気に市場規模を拡大させたのがPCゲーム市場である。
2023年のPCゲーム市場全体は、前年比で3.9%拡大。同年のコンシューマ市場が前年比1.7%増であることと比べて、約2倍拡大している。
ゲーム市場全体をみれば、PCゲームの市場規模はコンシューマゲームとほぼ同等となっており、それぞれ全体の20~25%ほどを占めている(残りはほぼモバイルゲーム市場)。モバイルゲーム市場が売上の多くを占め、次いでコンシューマ市場とPCゲーム市場が争う状況となっているのだ。
特に日本においては、『フォートナイト』や『ヴァロラント』などの流行を受けて、近年一気に市場規模が拡大。若年層を中心に、PCゲームをプレイするユーザーは増加し続けている。
その背景には、わざわざ専用ハードを購入する必要があるコンシューマよりも、すでにPCを保有している人にとってはPCゲームの方がプレイしやすいという理由がある。また、Vtuberを始めとした多くのゲーム配信者が、PCゲームの配信を行うことが多いため、それに憧れてプレイし始めるユーザーが多いという理由もあげられるだろう。
そもそもゲーム専用のハードが普及したのは、かつてはPCが一般家庭に普及しておらず、スペックも現在ほど優れていなかったためゲームプレイに適さなかったからである。しかし、現在ではこれらの問題は解消され、若年層にとっては「あえて専用ハードを購入する理由」が乏しくなっているのだ。
また、近年ではコンシューマ市場で活躍してきたゲーム会社が、PC版をリリースすることも珍しくなくなっている。かつてPCゲームをプレイするためには一定の知識が必要だったが、現在ではSteamなどのプラットフォームが普及し、始めるためのハードルも下がっている。そのため、初めてゲームに触れる体験がPCゲームであるというプレイヤーも少なくないはずだ。
ヒットタイトルが長期にわたって“売れ続ける”市場
PCゲーム市場の特性としては、数年前にリリースされたヒットタイトルが現在も市場の主役であることがあげられるだろう。たとえばSteamが公表した2023年の収益額ランキングでは、上位11タイトルのうち2023年にリリースされたタイトルは『バルダーズ・ゲート3』など3作のみ。そのほかは、『DOTA2(2013年リリース)』・『PUBG(2017年)』・『カウンターストライク2(2012年)』など、長期の運営タイトルが目立つ。
PCゲームは運営型の多人数用タイトルが多く、すでに多数のユーザーを抱えているタイトルほど、よりあらたなユーザーを獲得しやすい環境になっているため、ヒットタイトルの人気が持続しやすいという特徴があるといえるだろう。コンシューマ市場では依然として売り切り型のタイトルが主流だが、PCゲーム市場はいかにヒットタイトルを生み出し、それを長期的に持続させるかが重要になるのだ。
国内ゲーム会社のPCゲームとしては、『ファイナルファンタジーXIV』が長年にわたってヒットし続けている。同作は2023年末に世界累計アカウント数が3,000万人を突破。2024年7月2日に正式発売を迎えた『ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー』について、2013年のサービス開始以来最大の同時接続者数を記録したことがアナウンスされている。
このことからも、PCゲームは人気タイトル(かつ丁寧な運営をしているタイトル)が長期的に売れ続ける市場といえるだろう。
PCゲーム市場にとってポジティブな要素としては、コンシューマ向け新作タイトルが徐々に同タイミングでPC版をリリースするようになっていることがあげられる。これにより、コンシューマゲームのプレイヤーが徐々に「ゲームはPCで遊ぶ」ようになっていく可能性が高いからだ。
先に述べた通り、現在のPCは最新ゲームでも十分プレイできるほどのスペックを持っており、「あえて専用ハードを購入する理由」は年々乏しくなっている。
今後数年はコンシューマゲームと競争する時期は続くが、将来的にはコンシューマ市場を飲み込む存在へと成長する可能性は十分にあるだろう。その結果ゲーム市場は、ライトなゲームはモバイルで、じっくりやり込みたいならPCで、という形で二分されていくのかもしれない。
PCゲームの現在と未来
- 長期のヒットタイトルが数多く生まれており、コンシューマー市場と互角の市場規模へと成長している。
- 専用ハードを購入するよりもプレイするためのハードルが低く、若年層を中心にプレイヤー数を今後も伸ばし続けると予想される。