ブロックチェーンゲーム、メタバース分野の大手企業アニモカ・ブランズ(Animoca Brands)が2025年に株式公開を実施する計画があることがわかった。
The Information(ザ・インフォメーション)が共同創業者兼会長のヤット・シウ(Yat Siu)氏が発言したと報道した。
アニモカはNFTとブロックチェーンゲーム会社に焦点を当てた、強力なポートフォリオを持っている。デジタル資産分野において重要なプレーヤーとしての地位を確立している。
人気ブロックチェーンゲーム・プラットフォームのAxie Infinity、The Sandbox、TON Network、革新的デジタル決済アプリなどさまざまな注目度の高いプロジェクトに投資し、成功を収めてきた。
IPOは早ければ2025年に実施される可能性があるとシウ氏は示唆した。同社はIPOに向けて投資銀行との協議を開始しているが、IPOアドバイザーや具体的な上場市場についてはまだ確定していない。
オーストラリア証券取引所に2020年上場廃止の過去
アニモカ・ブランズは以前、オーストラリア証券取引所(ASX)に上場していたが、2020年に上場廃止となった。原因は、2019年12月にASXが指摘した問題が原因だった。
この懸念は、同社のガバナンスと子会社におけるSAFE(将来株式に関する簡易契約)の使用に疑問を投げかけたものだった。
これらの懸念に対処するため39ページに及ぶ報告書を提出したが、ASXは上場廃止を決定した。
アニモカは上場廃止後も、大きな混乱なく事業を継続、拡大してきた。株主はアニモカの株式登録機関である、オートミック(Automic)を通じて株式の所有権を保持し、非公開で株式を売却する選択もあった。アニモカは株主委任がないことを理由に、株主の株式の買い戻しを拒否していた。
シウ氏は、後にASX上場廃止について「祝福」と表現した。同氏は、豪州の規制枠組みが同社の成長を阻んでいることを指摘した。シウ氏の見解は2022年4月の報告書でも共有されており、同氏はASX規制の制限的な性質を強調していた。
2022年の資金調達ラウンドでアニモカは評価額が59億ドル(約9,465億円)となった。その後、引き続き事業拡大と株主への価値創造の道を模索していた。
同社の今後の株式公開は、GameFiとメタバースでの事業活動と一致するプラットフォームを確保することを目的としている。
アニモカが再上場に向けて準備を進めるなか、どの市場を選択するのかは極めて重要なこととなる。香港と中東はどちらも暗号資産(仮想通貨)ベンチャーを支援する規制環境を備えており、アニモカの計画には適した拠点となることが期待される。
香港はアニモカの拠点であることに加え、金融インフラが整備されていることが利点となる。中東、特にドバイやアブダビなどはデジタル資産や暗号資産への関心が高まり、急成長している市場でもある。また、サウジアラビアのスマートシティプロジェクト「NEOM」から5,000万ドル(約82億円)の出資提案を受けていることが明らかになっている。
アニモカの歩みは、ブロックチェーンゲームとメタバース分野における課題と機会を反映しており、成長と成功のためには規制の整合が重要であることを浮き彫りにしている。
参考:報道、アニモカ・ブランズFAQ
画像:Shutterstock
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