イングランド中央銀行(Bank of England)と英財務省が、昨年2月に開始された同国のCBDC(中央銀行デジタル通貨)「デジタルポンド」に関する協議の回答書を発表した。
現段階でデジタルポンド発行の最終決定には至っていないが、2025年から2026年の間に決定される可能性が高いとしている。デジタルポンドを発行する前に、英国の立法機関である議会が法案を可決する必要がある。
デジタルポンドが発行されれば物理的な現金と同じ価値を持つデジタルポンドを保有することができるようになる。デジタルポンドは決済イノベーションに関する広範な取り組みとして、金融領域における競争力のある世界的なリーダーとして、英国の地位を確固たるものにすることにもつながるとしている。
今後、英国経済においてデジタルポンドがどのように使用され、個人や企業に大きな選択肢、利便性、イノベーションを提供できるのかを検討していくという。
昨年2月に開始され、6月に終了したデジタルポンド協議における回答者からのフィードバックでは、デジタルポンドが導入された場合の現金へのアクセス、ユーザーのプライバシー、電子メールの管理に対する懸念を主張していた。
その対処策として、ユーザーのプライバシー保護やコントロールの保証をするという。具体的には、銀行と政府は個人データにアクセスすることができず、ユーザーはデジタルポンドをどのように使うかを自由に選択できるとしている。
ユーザーが特定の取引を行うことを防ぐような介入を政府が行うことを封じる設計になるという。さらに、プライバシー保護のために導入される法案についても公開協議が行われる予定だ。
デジタルポンドの保有限度額についても協議
回答書のなかで、財務省の取り組みを精査する超党派の財務省特別委員会は、デジタルポンドの保有限度額を3,000ユーロ(約47万円)の上限と同様に低くすべきだと提案していたが、イングランド中銀は「10,000~20,000ポンド(約187万円~375万円)を上限に据えるが、将来的には見直す可能性がある」と示唆した。
英国では現金の使用が減少しており、イングランド中銀は国家支援によるデジタルオプションの提供が既存の銀行支払いや、大手テクノロジー企業が開発する可能性の別個の支払いシステムに代わる手段となる可能性があるとしている。
財務省経済長官のビム・アフォラミ(Bim Afolami)氏は「将来デジタルポンドの発行が決定された場合に備えて英国が確実に準備できるようにしたいと考えている。いかなる設計においても人々のプライバシーが最優先であることを確実に保証し、従来の現金の代わりではなく並行して行っていく」と述べている。
参考:発表
画像:Shutterstock
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