ヒマラヤ山脈にある“幸せの国”として知られるブータン王国が、密かに暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のマイニング施設を構築していたことがわかった。衛星画像で判明したとフォーブスが報じた。
報道によると、ブータンの首都ティンプーに数十個の輸送用コンテナが隠されているという。内部では、マイニングマシンが稼働しているようだ。マイニングされたビットコインの相当額が蓄積されていると推測している。
「龍王」と称されるジグミ・ケサル・ナムゲル・ワチュク(Jigme Khesar Namgyel Wangchuck)氏が治めるブータンは、密かに「暗号資産シャングリア(理想郷)」へと変貌している。ブータン政府は土地、資金、エネルギーをマイニング事業に使い、経済危機を回避させる方針であるという。
なお、ブータンはビットコインのマイニング工場について詳細を明らかにしていない。
ブータンの電力は主にヒマラヤ山脈の麓を流れる川による水力発電だ。水力発電は、ブータン国内に電力を供給するだけでなく、隣国のインドへも売却している。しかし、4年前からブータンは水力発電所をビットイコイン・マイニング工場へ利用することを計画していたようだ。
ブータン政府は現地メディアに対して、ビットコインの価格が約5,000ドル(約73万円)だった際にマイニング事業を開始すると発言していた。
ブータンはビットコインマイニングマシン開発大手ビットメイン(Bitmain)の創業者であるジハン・ウー(Jihan Wu)氏が設立したナスダック上場企業ビットディア・テクノロジーズ(Bitdeer Technologies)と協業していた。ビットディアは4月、今四半期に着工予定のブータンのマイニング施設用に100メガワットの電力を確保するために交渉していると発表している。
中国やインド、ネパールに囲まれるブータンは、国民の幸福度を重視することで有名だ。
ブータンは4年前から暗号資産のポートフォリオを構築している。ビットコインやイーサリアム(ETH)など暗号資産に数百万ドルを投じている。これは暗号資産カストディ企業ブロックファイ(BlockFi)とセルシウス(Celsius)の破産申請で明らかとなっていた。
マイニング工場設立に約1,470億円を投じる
今回、フォーブスはブータンの暗号資産投資に詳しい情報筋に基づき、そしてGoogle Earth等の衛生画像を分析して、ブータンが運営する4つのマイニング施設の場所を特定したという。長方形のマイニング・ユニット、データセンターの冷却システム、水力発電所から施設まで伸びる大容量の送電線と変圧器が確認されたようだ。
情報筋によると、ブータンにおけるマイニング施設の拠点の1つは、ブータン戦没将兵を追悼している108の記念聖堂があり、文化的・政治的に重要なドチュラ峠の近くに建設されたという。
Planet LabsとGoogle Earthの衛星画像を分析すると、この場所では2020年に工事が始められ、施設建設は2022年末に終了したとのことだ。航空写真では数マイルにわたる森林に囲まれた緑と白い屋根のマイニング施設が確認された。
2つ目の施設はティンプーの東の町に建設されたという。現在のワンチュク王朝の祖先の拠点だったトンサ近くにあるという。3つ目の施設はダガナの森林地区にあるようだ。
マイニング施設は、ブータンが「教育と知識」の国際センター「エディケーションシティ」を設立するプロジェクトの沿線上にある。ブータンはこのプロジェクトに10億ドル(約1,470億円)を費やしたという。財務省の税関データによれば、施設の建設は2021年12月に「処理装置」として1億9,300万ドル(約285億円)と掲示されていた。
ブータンの最低賃金は45ドル(約6,600円)に設定されており、人口の約12%が貧困に苦しんでいる。ビットコインはブータンの経済を回復する手段として期待が集まる。
参考:フォーブス
画像:Shutterstock
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