大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は先月29日、ステーブルコイン・バイナンスUSD(BUSD)のサポートを今月15日に完全終了することを発表した。
バイナンスは今年8月にバイナンスUSDのサポートを段階的に終了すると発表していた。
2月、NYDFS(米ニューヨーク州金融サービス局)がバイナンスUSDの発行体であるパクソス(Paxos)に対して、同通貨の新規発行停止を命じた。
パクソスは暗号資産のカストディサービスを手がけており、バイナンスUSDとPaxドル(USDP)といった2種類のステーブルコインを発行をしていた。
バイナンスUSDは、かつてテザー(USDT)、USDコイン(USDC)に次ぐステーブルコインの時価総額3位の規模を誇っていたステーブルコイン。バイナンスとパクソスが共同開発し、NYDFSの認可を受けていた。
バイナンスUSDの準備資産は法定通貨ドルと米国債で担保され、顧客の資金は常に1:1の償還ができるとされていた。しかし、SEC(米証券取引委員会)は「バイナンスUSDは未登録証券に該当する」と主張し、投資家保護違反の疑いがあるとして、警告書「ウェルズ通知(Wells Notice)」を発行。また、NYDFSも準備資金の懸念があるとしてバイナンスUSDの新規発行を停止するよう命じていた。
12月31日以降はFDUSDに自動変換
バイナンスは顧客にバイナンスUSDを法定通貨、あるいは別通貨に交換することを推奨している。今年12月31日以降は、バイナンスUSD残高をFDUSD(First Digital USD)に自動的に変換する。FDUSDは香港に拠点を置くFirst Digital Limitedの子会社FD121Limitedが発行している。
既存のバイナンスUSDは2024年2月まで償還が可能だが、取引所における取引自体は停止する方針だ。また、バイナンスは12月31日午前3時からバイナンスUSDの出金を無効にする。
バイナンスUSDの段階的廃止は、バイナンスに対する規制強化の一環ともいえる。あらたにバイナンスのCEOに就任したリチャード・テン(Richard Teng)氏は今後について、規制を徹底的に遵守する意向を表明していた。
バイナンスには規制に関する問題を解決し、米国での信頼を再構築する狙いがあるものとみられる。バイナンスUSDのサポート終了も規制当局による取り締まりを受け、それに応じる姿勢を示したものだといえる。
参考:発表
画像:Shutterstock
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