大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、香港でライセンス申請を行っている可能性が浮上した。25日、SCMP(South China Morning Post)が報じた。
事情に詳しい3名の情報筋によると、昨年12月に設立された暗号資産取引所HKVAEXは、バイナンスが香港における暗号資産事業者としてのライセンス取得を見据え立ち上げたものだという。
HKVAEXは香港のBX Services Limitedを通じて設立された。しかし関係筋によると、両社はリソースを共有しており、HKVAEXのWebサイトではコンテンツを取得する際にバイナンスのサーバーを使用していることがわかるという。
HKVAEXはSCMPに対し、「我々は独立したプラットフォームであり、暗号資産取引所として運営するためのライセンス申請を現在準備している」と述べ、バイナンスのグループ会社であることを否定した。また、バイナンスも同様に「HKVAEXは我々のグループ会社ではない」と説明したようだ。
HKVAEXとバイナンスの関係性を巡っては、これまでにも複数の接点があったとしている。今年3月に香港で行われたイベントでは両社が共に登壇することもあり、さらにはHKVAEXの口座開設において、バイナンスをパートナーと示しプロモーションを行なっていたようだ。このほか、SCMPは利用規約などがバイナンスと類似していると指摘している。
香港では今年6月にあらたな暗号資産規制が施行され、暗号資産取引所サービスを提供するためにはライセンスを取得する必要がある。8月には、HashKeyグループ傘下のHashKey Exchangeが香港において初となる個人向け暗号資産取引所を提供するためのライセンスを取得した。
バイナンスは日本を始め各国でサービスを拡大させる一方、米国ではSEC(米証券取引委員会)から証券法違反等で提訴されるなど、苦難に直面している部分もある。先日には、米国法人のバイナンスUS(Binance.US)における利用規約を更新し、ユーザーの米ドル出金を停止した。
こうした状況も踏まえ、これまで通り米国でサービスを展開することは当面厳しいことが予想されることから、アジアを代表する金融センターである香港に着目し、水面下で準備を進めている可能性もある。
参考:発表
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