米SEC(証券取引委員会)と大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の米国法人であるバイナンスUSは17日、同取引所の資産凍結を求める要請を取り下げることに合意したと発表した。
この決定は裁判所も承認しており、バイナンスUSは「SECと通常業務を継続することで同意した」と述べている。SECが求めた要請は顧客資産の入出金を制限することから、事実上バイナンスUSにおける事業が停止しかねないものであった。
バイナンスUSによれば、同取引所が顧客資産を不正利用したという証拠はなく、SECの担当弁護士も不正利用を示す証拠がないことを認めたという。
SECの発表によると、バイナンスやバイナンスUSを運営するBAM(BAM Trading Services)、そしてCEOのCZ(Changpeng Zhao)氏がバイナンスUSの顧客資産を米国へ送還する合意がなされたようだ。
これにあわせて、バイナンスUSが通常業務以外で企業資産を移動させることや、同取引所からバイナンス関連会社及びCZ氏に資産を移すことなどが禁じられた。
今後、SECはBAMの支出を監督する。また、BAMは顧客資産の保管とセキュリティに関する情報をSECに開示する義務が生じるという。
SECの執行部ディレクターのグルビル・グレワル(Gurbir S.Grewal)氏は「我々は申し立てた不正行為を明らかにし、CZ氏とバイナンスの責任を追及していく。今回の対応は、その間、米国の顧客が資産を引き出すことを可能にする保証を行ったものだ」と述べた。
SECは今月5日、バイナンス及びバイナンスUS、CEOのCZ氏を証券法違反で提訴。その後、SECは裁判所に対し資産凍結を要請していた。
13日には米裁判所のエイミー・バーマン・ジャクソン(Amy Berman Jackson)判事が資産凍結について、両者間で話し合いを行うよう命じている。
参考:バイナンスUS発表、SEC発表
画像:Shutterstock