大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の米国法人であるバイナンスUS(Binance.US)は16日、利用規約を更新し、ユーザーの米ドル出金を停止した。
この措置は今年6月に発表した米ドルの入金停止に続くものだ。なお、規約には米ドルを出金したい場合、「ステーブルコインやその他暗号資産に交換することで引き出しが可能」と説明している。
バイナンスUSは6月に米ドル入金を停止した際、「銀行とのチャネルが停止される」ことを理由として述べている。また、早ければ6月13日にも出金を停止する可能性があるとして、ユーザーに呼びかけを行っていた。
提携銀行がバイナンスUSとの入出金チャネルを停止した背景には、米SEC(証券取引委員会)による資産凍結を求めた申し立てがある。
SECは6月にバイナンスUSのほか、バイナンス本体とCEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏を証券法違反等13件の容疑で提訴した。この一環でSECはバイナンスUSに対し、「長年にわたる米国法を無視した違反行為を踏まえ、資産の散逸を防ぐことが必要」と述べていた。
その後、SECは資産凍結を求める要請を取り下げることでバイナンスUSと合意したものの、今回の動きを鑑みれば同取引所によるあらたな継続的銀行パートナー探しは難航していたことが予想される。
あわせて、今回の規約更新では顧客のアカウント及び保有資産が米ドルFDIC(米連邦預金保険公社)の保険による保護対象から外れたことも明記された。これにより、万が一バイナンスUSが破綻した際、顧客資産が保護されない可能性がある。
バイナンスUSは引き続きSECと徹底抗戦する構えだが、今回の動きはバイナンスによる米国市場撤退の前触れともみてとれる。SECによる暗号資産関連企業への締め付けが強まるなか、今後の動向に引き続き注目が集まる。
参考:利用規約
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