国内暗号資産(仮想通貨)取引所bitFlyerは20日、FTX Japanと買収合意の契約を締結したことを発表した。買収額は数十億円にのぼるとみられる。
bitFlyerはFTX Japanの株式100%を取得する。今後FTX Japanの経営権を引き継ぐ。なお、本件の対象であるFTX Japanは米デラウェア州破産裁判所の訴訟手続きの対象となっており、本契約は米破産裁判所の承認が必要となる。
2022年11月、FTX Trading Ltd.、FTX Japan、FTX Japan Holdingsと関連債務者は米国のチャプター11(連邦破産法11条)に基づく救済を求める任意申立を行った。
現在、債務者は本契約の締結と完了を承認する関連申し立てを提出しており、7月17日に予定されている債務者への審問を通じて審議が行われる。本件完了の際に、FTX Japanはチャプター11の訴訟手続きの対象から外れることになる。
FTX Japanは、FTX Japan Holdingsの子会社であり、2022年4月にFTX Tradings Ltd.から買収された。FTX Japanは金融庁と関東財務局の監督下に置かれ、FTX Tradingsの破綻前までは国内でデリバティブ取引を含む暗号資産取引所運営を行っていた。
申し立て日以降は暗号資産取引所の運営を行っていないが、顧客資産については分別管理されており、2023年初頭からすべての顧客に対して暗号資産と法定通貨を引き出せるようにしていた。
カストディ及び暗号資産現物ETFの提供見据える
株式譲渡契約の条件に基づき、FTX Japanは社名を変更する。現時点であたらしい社名は決まっておらず、仮称としてカストディ新会社と表記する。
新会社では、顧客の同意を得た上でbitFlyerに口座移管を行う。カストディ新会社のコア事業として、クリプトカストディ(暗号資産預託)事業をあらたに展開する予定だ。
また、カストディ新会社ではコア事業を軸として、将来的には国内の法制度が整備された場合、暗号資産現物ETF関連サービスの提供も目指す。カストディ新会社として展開する事業や提供するサービスの内容に応じて、暗号資産交換業と第一種金融商品取引業のライセンスを維持していく。
クリプトカストディ事業をコア事業として展開する基本方針の背景には、機関投資家の暗号資産市場への参入需要と専門的なセキュリティ対策需要がある。
今年1月にSEC(米証券取引委員会)がビットコイン現物ETFを承認し、取引開始後は大きな成功を収めている。日米では事情が異なるが、国内においても機関投資家の暗号資産領域への参入需要が高まっていくことが予想され、クリプトカストディサービスがより重要な位置付けとなってくることが見込まれるとbitFlyerは説明している。
国内では暗号資産現物ETFが承認された場合、信託銀行を始めとした金融機関のニーズに適合した暗号資産現物ETF関連のサービスを提供することも視野に入れている。クリプトカストディサービス、暗号資産現物ETF関連サービスをカストディ新会社で提供することで、bitFlyerグループならではの価値を提供していくことを目指す。
参考:発表
画像:bitFlyerホームページ
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