破綻した暗号資産取引所マウントゴックス(Mt.Gox)の債権者に対する約1兆300億円相当のビットコイン(BTC)の分配をするために選ばれた5つの暗号資産取引所のなかの1つビットスタンプ(Bitstamp)は8日、弁済金を受け取り次第できるだけ早く債権者に分配する予定であることを発表した。
ロビンフッドに買収されたビットスタンプは声明で、「マウントゴックス管財人との合意によれば、ビットスタンプは60日以内にトークンを配布する期間が与えられているが、もちろん我々は投資家ができるだけ早く全額を回収できるように取り組んでいる」と述べた。
この声明は、かつて世界最大の暗号資産取引所だったマウントゴックスの管財人が、2014年にプラットフォームがハッキングされ、閉鎖された際に資金を回収できなかった債権者に回収した14万2,000BTCを売却する計画という、不透明かつ不安を煽るプロセスに光を当てるものとなった。
マウントゴックス・ショックは起こるのか
多くの暗号資産保有者は、1度にその額を暗号資産史上に大量に放出すると、ビットコインの価格が暴落する恐れがあると懸念している。マウントゴックス・ショックと呼ばれるこの暴落により、暗号資産冬の時代がすぐに来るのではないかという声も多くあがっている。
先週、マウントゴックスがビットコイン保管の移転プロセス(約4,300億円相当のビットコインをコールドストレージから正体不明のウォレットに転送)を加速させたため、ビットコインの価格は10%も下落した。
マウントゴックスのビットコインの払い戻しが市場に与える影響への懸念と、ドイツ政府による犯罪者から押収したビットコインの売却により、ビットコインの価格は先月から19%も下落している。
マウントゴックスの管財人によって分配されるビットコインの総額は約1兆300億円。アーカム・インテリジェンスのデータによると、ドイツ政府は依然として2,400億円相当のビットコインを保有している。
アナリストらは、これらの膨大な金額が市場に放出されれば、ビットコインの価格がさらに下落することはほぼ確実だと予想している。
マウントゴックスの債権者とドイツ政府がビットコインを市場で売却する圧倒的な重圧に全暗号資産の価格が影響を受けるのは8月がピークになるとも言われている。そのために何らかの措置を講じる必要がある。ビットコインの価格が800万円を割る可能性は高く、その対抗措置が必要というわけだ。
たとえばイーサリアム(ETH)現物ETFを早々にも承認し、暗号資産市場が活性化すればビットコインやそのほかのトークン価格の暴落も防ぐことができるというような施策が必要であると指摘するアナリストもいる。
ただし、ビットコイン半減期の年は、価格は一旦下がった後に上昇する傾向があるため、価格の下落は最大の押し目買いのチャンスであるともいえる。
参考:発表
画像:Shutterstock
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