暗号資産(仮想通貨)投資企業ビットワイズ(Bitwise)がレポートを公開し、ビットコイン(BTC)の価格が2024年に8万ドル(約1,135万円)を超え、史上最高値を付けると予測した。あわせて、暗号資産取引所コインベースの収益性が上がり、イーサリアム(ETH)の普及が進むという。
ビットワイズは、「暗号資産冬の時代」の終焉が近づいており、2024年に「暗号資産がメインストリームとなる時代が訪れる」と予測した。
また、ビットコインが年初から128%価格を伸ばしたことや、ソラナ(SOL)などのアルトコインを中心に、主要暗号資産の多くが上昇したことを指摘。この傾向は2024年も継続し、ビットコインは80,000ドル以上で取引され、史上最高値を更新すると述べている。
ビットコイン価格に大きな影響を与える要因として、ビットコイン現物ETFをあげている。2024年初頭にも承認されて上場し、個人投資家や機関投資家からあらたな資金が流入するなど、ビットコインの需要が増えると根拠を示した。
また、来年3月から4月にかけて、ビットコインの半減期が訪れる見込みだ。需給の関係からビットコインの価格が高騰すると主張する。具体的に、ビットコイン現物ETFの誕生によって720億ドル(約10兆2,000億円)相当の需要が生まれるとしている。
ビットコイン現物ETFを巡っては、現在ビットワイズを始め、ブラックロック(BlackRock)やウィズダムツリー(WisdomTree)、フィデリティ(Fidelity)など13社が申請を行なっている。来年1月中旬にはブラックロック 、ビットワイズのビットコイン現物ETFが審査期限を迎える予定だ。
その一方で、ブルームバーグのETFアナリストであるジェームス・セイファート(James Seyffart)氏は、ビットコイン現物ETFの承認時期として来年1月5日から10日が有力だと推測している。
手数料軽減でイーサリアムの普及が進む
レポートでは、イーサリアムの手数料がアップデートを通じて軽減されることで、普及が進むと指摘している。
ビットワイズによれば、今年ユーザーが支払ったイーサリアムの手数料は約23億ドル(約3,260億円)にのぼるが、dAppsの利用頻度が高まることで2024年には2倍以上となる50億ドル(約7,080億円)超になると予想した。その上で、イーサリアムは世界で最も急速に成長しているプラットフォームの1つになっていると指摘している。
ビットワイズはイーサリアムが大幅なアップデートを行うことにより、ユーザーが支払う手数料が大幅に下がると予想ている。依然としてイーサリアムの手数料は高い状態にあるが、手数料の軽減によりマイクロペイメント、ソーシャルメディア、ブロックチェーンゲーム等においてユースケースが拡大し、普及が進むと述べた。
コインベースの存在感高まる
また、アナリスト達は今後も暗号資産市場の強気相場が続き、暗号資産取引所コインベースがサービスを拡大し、収益が28億ドル(約3,965億円)から57億ドル(約8,070億円)へ倍増すると予想した。これはウォール街の平均予想の10倍以上にあたる。
さらに、来年はステーブルコインがVISAよりも多くの決済に使われると予想した。加えて、JPモルガンがファンドをトークン化しオンチェーン上で立ち上げることや、ファイナンシャルアドバイザーの4人に1人が暗号資産に割り当てるだろうとも予想した。
他社の見通しは評価がわかれる
金融サービス企業マトリックスポート(Matrixport)のレポートによると、たとえビットコイン現物ETFが承認されなかったとしても、ビットコインは2024年に上昇すると予測している。アナリストのマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、ビットコインの半減期と米大統領選によって流動性が増加すると述べた。
さらに、新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、米国の短期金融市場の規模が拡大していることも要因としてあげている。加えて、余剰資金を持つ企業による暗号資産への投資の可能性も指摘した。
一方で、JPモルガンは2024年の暗号資産市場について慎重な見方を崩していない。しかし、イーサリアムについては大規模アップデートによりビットコインやほかの暗号資産よりも高いパフォーマンスを記録するだろうと推測している。
レポートによると、市場はすでにSECのビットコイン現物ETF承認という楽観論を折込済みであるという。また、ビットコイン半減期による価格の高騰もすでに織り込み済みだろうと述べた。
参考:ビットワイズ、マトリックスポート
画像:Shutterstock
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