ビットコイン(BTC)は4回目の半減期を終え、マイナーのブロック報酬は3.125BTCに半減した。しかし、ビットコインに対する需要が高まり、同日には平均取引手数料が127.9ドルと急騰。前日の平均手数料と比べると約6倍にまで膨れ上がった。
この需要の高まりの背景には、半減期と同時にローンチされたビットコインの新規格「ルーンズ(Runes)」プロトコルの存在がある。
ルーンズは昨年大きな盛り上がりと注目を浴びたビットコインの規格「オーディナルズ(Ordinals)」の開発者であるケーシ・ロダーモー(Casey Rodarmor)氏があらたに開発したプロトコルだ。半減期と同時にローンチされ、大きな注目を集めたことからネットワークは大混雑した。その結果、取引手数料が過去最高となり、マイナーに多額の取引手数料収益をもたらした。
ブロック報酬と取引手数料を含む、ビットコインマイナーの総収益は1日で史上最高となる1億780万ドル(約167億円)を記録した。
ビットコインの新規格「ルーンズ(Runes)」とは
新規格のルーンズでは、ビットコインのブロックチェーン上でトークンを発行することが可能となる。現在もオーディナルズを通じて「BRC-20」としてトークンを発行することはできるが、ルーンズはこれを改良した形となる。
オーディナルズはビットコイン上でNFTの発行ができるという点で人気を博した。しかし、データベースの圧迫や手数料の高騰化など課題も抱えている。ロダーモー氏によれば、ルーンズはオーディナルズよりも効率性を重視し設計したという。
また、BRC-20などのトークン基準がオフチェーンのデータに依存するのに対して、ルーンズはオンチェーンになるため、UTXO(Unspent Transaction Output=未使用トランザクション出力)モデルを採用している。
UTXOは未使用のトランザクション残高を管理するもので、ビットコインでいえば使用されていないBTC量を指す。BRC-20ではこのUTXOが増加し、データベースを圧迫していたが、ルーンズではこれを抑えるため、手数料の削減等につながるとしている。
BRC-20と同様、ルーンズはあらたなトークンを作成するためにビットコインで手数料を支払う必要がある。ルーンズでは主にミームコイン作成される可能性があり、投機的な需要が高まった結果、取引手数料が急騰したと考えられる。
ルーンズのローンチはビットコインの半減期にあわせて調整された。昨年9月、ロダーモー氏はルーン・プロトコル・プロジェクトを発表。同氏はルーンを導入することで、ほかの暗号資産(仮想通貨)から流動性やテクノロジー、そして注目をビットコインに戻すことになると明言している。
参考:ルーンズ概要
画像:Shutterstock
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