SEC(米証券取引委員会)のビットコイン現物ETF承認が近付くなか、同ETFを発行する企業間で取引手数料の価格競争が激化している。各企業がSECに提出した直近の資料で判明した。
世界最大の資産運用企業ブラックロック(BlackRock)は8日に提出した資料で、ETFを開始してから12ヵ月間、あるいはETFの資産が50億ドル(約7,235億円)に達するまで顧客に課する手数料を0.2%にすると述べている。その後は0.3%に上昇するという。
競合のアーク・インベストメント(Ark Investments)は、これまでビットコイン(BTC)保有額の0.8%を手数料として課すことを示唆していたが、開始以来6ヵ月、またはETFの資産が10億ドル(約1,450億円)に達するまでは手数料を無料にするようだ。その後の手数料は0.25%にする。
インベスコ(Invesco)も同様に、開始以来6ヵ月間、あるいはETFの資産が50億ドルに達するまで手数料を無料にし、その後0.59%まで上昇させる。
差別化を巡る競争ポイントは取引手数料に
現時点で申請されているビットコイン現物ETFは類似した設計のものが見受けられる。そのため、各社は手数料を始めとしたブランディングで差別化を図る必要が生じる。
こうした状況を踏まえ、ジョージタウン大学マクドノー経営大学院の金融市場・政策センターの教員ジェームズ・エンジェル(James Angell)氏は「典型的な価格競争が行われている。自社のETFがほかのETFと比べて優れていることを証明する際、競争できる唯一の方法が取引手数料だ」と述べた。
SECはこれまで、ビットコイン現物ETFについて投資家保護が不十分だと主張し、申請を非承認し続けてきた。しかし昨年8月、暗号資産運用企業のグレースケール(Grayscale)によるETF転換申請を非承認と判断したことを巡る裁判所で敗訴して以来、SECに対する圧力は高まっている。
参考:ロイター
画像:Shutterstock
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