1月にビットコイン現物ETFがSEC(米証券取引委員会)に承認され上場して以来、多額の資金流入がみられている。
JPモルガンのアナリストによると、最近のビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)価格の高騰は、投資家がゴールド(金)からビットコインにシフトしたことによる影響ではないと指摘。主に個人投資家と投機筋の機関投資家がゴールドとビットコインの両方を購入したことによって引き起こされていると主張する。これは投資家がゴールドからビットコインに投資先を移行しているという一般的な解釈とは反するものだ。
JPモルガンはレポートのなかで「我々はゴールドからビットコインに資金移動が行われているという説に同意していない。むしろ民間投資家や個人がゴールドとビットコインの両方を取得しているものだと考えている」と述べている。
JPモルガンのアナリストらは個人投資家がウォレットで直接ビットコインを保有するということから「ビットコイン現物ETFの利便性と規制保護」を重要視し始めているという。ウォレットでビットコインを自己管理するよりも、ビットコイン現物ETFを保有した方が安全という考え方だ。
レポートでは「CTA(商品取引アドバイザー)などのモメンタムトレーダーを含むヘッジファンドなどの投機筋の機関投資家が2月以降、個人投資家よりも大量にゴールドとビットコイン先物の両方を購入することで価格が上昇しているようだ」と分析した。
また、JPモルガンの先物ポジション指標はビットコイン先物で70億ドル(約1兆円)、ゴールド先物で300億ドル(約4兆5,000億円)に上る「2月以降の急激なポジションの蓄積」を示唆しているとアナリストらは指摘。これは主にモメンタムトレーダーが原因であると考えている。
また、アナリストらはゴールド現物ETFからの資金流出はビットコイン現物ETFの取引開始以前からみられていたと指摘した。その上で「新型コロナウイルスのパンデミック以来、過去4年間にわたってこのようなことが起きている」と述べた。
さらに、ゴールド現物ETF投資家はビットコイン現物ETFにシフトしたのではなく「むしろゴールド現物ETFから地金やコインへの金融商品の移行を反映している」と語る。
その理由について、「パンデミック以降、プライバシーと接しやすさが個人投資家にとって重要な考慮事項となっている。ゴールド現物ETFはこの点で地金やコインを保有することに比べて不利だ」と理由を述べた。
アナリストらはこうした個人投資家はゴールド現物ETFを敬遠しつつ「パンデミック以降かなり強力かつ安定した方法で」金の延べ棒や金貨を購入しており、量の面では中央銀行を上回っていると付け加えた。
参考:報道
画像:Shutterstock
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