CFTC(米商品先物取引委員会)のロスティン・ベーナム(Rostin Behnam)委員長は6日、ミルケン研究所の第27回年次グローバル・カンファレンスで、暗号資産(仮想通貨)関連企業に対する執行措置の波が「今後6ヵ月から2年以内に始まる」と予想していると発言した。
ベーナム氏は個人投資家の関心と暗号資産市場の価値が上昇するにつれ、執行措置も増加すると述べた。同氏は規制当局としての立場から「資産価値の上昇と個人投資家による関心のサイクルにより、おそらく今後6~18ヵ月あるいは、6~24ヵ月の間に、執行措置のあらたなサイクルが始まる」との認識を示した。
さらに、「規制の枠組み及び透明性がない、そして私たちが規制当局として通常使用しているツールがなければ、不正行為や意図的な操作が今後も続く」と述べた。
ベーナム氏の発言は、米投資アプリを手掛けるロビンフッド(Robinhood)が6日にSEC(米証券取引委員会)からウェルズ通知(Wells Notice)を受け取った後のものだ。SECはロビンフッドの暗号資産部門が証券法違反を犯したと主張している。
先月には、暗号資産ウォレット・メタマスク(Metamask)を開発するコンセンシス(Consensys)及びDEX大手のユニスワップ(Uniswap)もウェルズ通知を受け取っている。
過去1年間ほどの間にCFTCとSECは、バイナンス(Binance)やコインベース(Coinbase)など、さまざまな暗号資産企業を提訴してきた。コーナーストーン・リサーチ(Cornerstone Research)のレポートによると、2023年にSECが起こした暗号資産関連の訴訟数は2013年以来最高だという。
ベーナム氏は昨年10月、CFTCが暗号資産企業に対して行った執行措置のうち、3分の1は2023年に発生したものであると述べた。CFTCは昨年11月、デジタル資産コモディティ分野で47件の措置を開始したと報告しており、そのなかには破綻した暗号資産取引所FTXの元CEOであるサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)被告に対する訴訟も含まれている。
ステーブルコイン法案についても言及
ベーナム氏はパネルディスカッションのなかで、ステーブルコイン法案が成立する可能性についても質問された。下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長と民主党のマキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)下院議員は、20ヵ月以上にわたってステーブルコイン法案の策定に取り組んできた。
ベーナム氏は、選挙期間と休暇の間の議会在職日数が減っていることをあげ、「(成立する可能性は)まだかなり低いと思う」「多くの勢いと意欲があり、双方のメンバー、双方のリーダーシップによる努力があるとは思うが、直近で法案を成立させることは難しい」との見解を示した。
ベーナム氏によれば、ステーブルコイン発行者の主な規制当局がどこになるか、また連邦政府と州の規制当局のどちらが監督者になるのかなど、まだいくつかの争点が残っているという。
参考:講演
画像:Shutterstock
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