CFTC(米商品先物取引委員会)の技術諮問委員会におけるデジタル資産及びブロックチェーン技術小委員会は8日、DeFi(分散型金融)に関する包括的な報告書を発表した。
本報告書は米国議会、州議会、CFTCなど規制当局で進行中の政策議論に情報を提供することを目的とし、DeFiの基礎について理解促進を図るという。
CFTCのクリスティ・ゴールドスミス・ロメロ(Christy Goldsmith Romero)委員は、「DeFiの利点とリスクは、特定のDeFiシステムの設計とその機能に大きく依存する」とした言及。「DeFiは常に違法な金融リスク、サイバーハッキング、窃盗の温床となっている。この報告書が政策立案者と業界間の対話を促進する第1歩となることを願っている」と述べた。
昨年4月、米財務省はDeFiにおける違法金融のリスクについて報告した。連邦規制当局は業界に対して関連する法律や規制がDeFiサービスにどのように適用されるかを説明し、追加の規制措置を講じてガイダンスを公表することを勧告した。今回のCFTCの報告書はその取り組みを反映したものだという。
報告書ではDeFiに対する懸念について、責任と説明責任の境界線が欠如していること、一部の設計ではそれを回避することであると指摘。潜在的なリスクを考慮すると、政府と業界はDeFiをより深く理解するために、規制やそのほかの戦略的取り組みを行うため、全体で協力する必要があるとした。
また、投資家保護、消費者保護、市場の健全性、金融の安定化のため、下記の項目をあげた。
- 「リソースの評価、データ収集、マッピング」
- 「既存の規制境界を調査する」
- 「リスクの特定、評価、優先順位付け」
- 「リスクに対処するための潜在的な政策対応の範囲を特定する」
- 「国内外の標準設定者、規制の取り組み、DeFiシステム構築者との関与と協力を強化すること」
続けて、マネーロンダリング及びテロ資金供与にDeFiが悪用されている現状を踏まえ、マネーロンダリング対策とデジタルアイデンティティに適用される特定の措置を推奨した上で、政策立案者が広範的で総合的アプローチ措置を取る必要があるとした。
さらに、エコシステム内のレイヤー全体でID情報の発見と検証に関する規制を課すことも推奨している。さまざまな種類のID情報を調査して、どの情報を誰にどのような条件と適正な手続きのもとで発見可能にするかを決定する必要があるとした。
参考:発表
画像:Shutterstock
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