中国国家外国為替管理局は24日、暗号資産(仮想通貨)について「違法な外国為替取引のツールである」と警告した。
最近のメディア発表では、「暗号資産は本当に価値があるのか」と疑問を投げかけ、改めて怪しげかつ違法なものであると述べている。
警告を発した背景には、2022年のマネーロンダリング事件がある。同事件では、山東省青島市で全国17の省、直轄市が絡み、暗号資産を利用して総額約158億元(約3,150億円)がマネーロンダリングされたとされる。
昨年11月、青島警察は1,000件以上の口座で1日平均300万元(約6,000万円)に及ぶ異常な取引を観測した。その総額は20億元(約400億円)にのぼったという。
取引はインターネットバンキング等を通じて行われ、送金先は海外となっていたようだ。アカウント管理者である容疑者に渡航歴はなかったが、捜査の結果、送金者は中国の留学生や短期出入国であった
こうした状況を受け、山東省青島公安局経済捜査分遣隊の事件担当者は「我々は容疑者が管理するアカウントを通じて違法両替サービスを提供していた疑いがあると判断した」と声明を出した。
国家為替管理局と公安当局の事件捜査官が2,000万件以上の不審な取引記録を回収、捜査したところ、容疑者氏の取引高は100億元(約2,000億円)を超えていたという。その後、さまざまな分析ツールを用いて口座のデータを調べたところ、容疑者の資金が大量に流出していることが判明した。そこで暗号資産を違法に売買する犯罪組織を摘発できたという。
国家外貨管理局青島支局の検査官の徐暁氏は「地下銀行は顧客から人民元を集めた後、暗号資産を購入し、海外の取引所を使い、暗号資産を販売して必要な外貨を調達していた。このプロセスは人民元と外貨の交換を実現するもので、外貨の売買という違法行為にあたる」と警告した。
証拠が集まった後、捜査当局はネットワークを閉鎖するための作戦を実施。青島警察はテザー(USDT)やライトコイン(LTC)など、約200万元(約4,000万円)相当の暗号資産を押収した。
中国の規制では、暗号資産は法定通貨と同様の法的地位を持たず、暗号資産に関連した事業活動は違法な金融活動となる。外国為替取引は国の指定する取引所で行う必要があり、それ以外の取引は違法となり刑事責任にも問われることになる。
中国共産党は先月24日、中国外貨管理局のトップに元中国人民銀行副総裁の朱鶴新氏を充てる人事を決めた。朱氏は暗号資産に対して特に厳しい立場を示す人物だという。
暗号資産禁止もWeb3,0は促進
一方、中国人民銀行は最新の金融安定報告書のなかで暗号資産規制とDeFi(分散型金融)について取り上げており、暗号資産規制を確立させるためグローバルに協力するとも述べている。
また、中国科学技術部は今月、ブロックチェーンやNFTを活用しWeb3.0を促進させていくと表明した。声明ではWeb3.0の発展を「国として重要視している」と言及し、dAppsの開発などを支援していく姿勢を示している。
なお、この声明においても暗号資産を禁止する方針に変化はないことを強調している。
参考:発表
画像:Shutterstock
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