米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は現在、未決済建玉(オープンインタレスト=OI)がビットコイン(BTC)先物取引所リストで2位となっている。1位の大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)に迫っている。
CMEのOIは10月30日時点で35億8,000万ドル(約5,375億円)に達した。
CMEのOIはバイビット(Bybit)の26億ドル(約3,903億円)、OKXの17億8,000万ドル(約2,672億円)を追い抜き、バイナンスのOI、39億ドル(約5,855億円)まであと約3億ドルに迫っている。
CMEのビットコイン先物は標準契約が5BTCだが、マイクロ契約では10分の1の価格で取引される。海外取引所では、普通の先物契約ではなく、決済期日がない永久先物が建玉の主な対象となっている。永久先物は市場価格と同じ価格を維持するためファンディングレート(資金調達率)方式を採用している。
ビットコイン建玉とは、市場での未決済のビットコイン先物とオプション契約の総数を指している。これはビットコイン先物に投資された金額の尺度であり、OIは市場に流入する資本を測定している。
より多くの資金がビットコイン先物に流入すれば建玉は増加することになるが、資金が流出すると建玉は減少する。したがって、建玉の増加は市場の強気のセンチメントを反映し、OIの低下は弱気のセンチメントが増大するということだ。
CMEのOIの増加は、先物取引所が暗号資産(仮想通貨)取引所を抜いて2位に上昇しただけでなく、その現金決済先物契約の取引が10万BTCを超えたことにも貢献した。ビットコイン先物市場に関心を持つトレーダーの増加もあり、CMEはビットコイン先物市場のシェア率25%に増えた。
CME先物への投資の大部分は先物標準契約だ。ビットコインが10月、2桁の大幅な上昇を記録し、3万5,000ドル(約525万円)を1年ぶりに超え、年初来高値に達したことを受け、機関投資家からも資金が流入した。米国ではブラックロックのビットコイン現物ETFが承認間近との報道を受けて価格が上昇している。
ビットコインの価格上昇は別方面でも要因がありそうだ。
トルコやナイジェリアでビットコイン価格が史上最高値を付けた。法定通貨の下落や不安定な経済環境でビットコインを購入する人が増加している。
トルコではビットコインの価格が96万リラ(約509万円)、ナイジェリアでは2,740万ナイラ(約537万円)となり、それぞれ法定通貨ベースで月の上昇率は30%を超えた。
国際通貨基金(IME)によると、ナイジェリアのインフレ率は前年比で25%上昇、トルコでは51%も上昇したが、一方で通貨は大幅な下落を引き起こしている。ナイジェリアの米ドル相場では過去1ヵ月で0.45%、過去半年で45%も下落した。リラの米ドル相場でも過去1カ月で2.9%、過去半年で31%も下落している。
こうした背景から、法定通貨よりもビットコインを保持する方が安心なために購入する人が増えているようだ。
両国とも暗号資産への需要は年々高まっている。ブロックチェーン分析企業のチェイナリシス(Chainalysis)が9月に発表したレポートによると、ナイジェリアでは暗号資産取引を行う顧客がインドに次いで2番目に活発な国であるという。トルコは20ヵ国中12位となっている。
参考:発表、coinglass
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