暗号資産(仮想通貨)運用大手グレースケール(Grayscale)は20日、先月27日から29日にかけて有権者1,759人を対象に、2024年に実施予定の米大統領選に関するオンラインアンケートを実施し結果を公表した。その結果から、大統領選挙において暗号資産が結果を左右する可能性が浮上した。
グレースケールが委託し米世論調査会社ハリスポール(Harris Poll)が実施した調査によると、回答した73%が、「大統領候補者はAIや暗号資産などの革新的なテクノロジーについて十分な情報に基づいた視点を持つべきだ」と考えていることが明らかとなった。
また、Z世代とミレニアル世代は株式(17%、24%)よりも暗号資産(31%、35%)を所有していることがわかった。その上で、Z世代及びミレニアル世代の有権者の過半数は「暗号資産とブロックチェーンは金融の未来である」(54%、58%)と答えた。実質的な過半数(18歳~34歳の68%)が、明確な規制があれば暗号資産に投資する可能性が「かなり」または「多少」高まると答えている。
さらに、回答者の26%が目の前に迫っているインフレへ懸念を抱いていると答えた。そうした状況下で、暗号資産資産への期待感が高まっている。調査によると、投資家の40%は暗号資産をポートフォリオに加える意向を示したようだ。現在の経済状況と今後の見通しを考慮し、ビットコインへの関心を高く持っていることがわかった。
一方、デジタル通貨に関心のない回答者の割合は少なく、またこれらのテクノロジーに関する広範な教育の必要性を指摘している。
この1年間で政党内及び政党を超えて暗号資産についてさまざまな見解を表明するケースが見受けられた。グレースケールは、2024年のビットコイン半減期、米ビットコイン現物ETFの承認の可能性、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを行う可能性などがビットコインの価格上昇につながる可能性があると説明した。
有権者の優先事項の変化に伴い、政治情勢も進化している。一部候補者の選挙運動では、暗号資産などのデジタル資産がテーマの中心となっているケースもある。2024年の大統領選挙が近付くにつれ、焦点が変わる可能性があると指摘している。
こうした状況も踏まえ、今回の調査では回答者のテクノロジーに対する関心の高まりを反映しているだけでなく、2024年の大統領選挙における暗号資産の関連性が強く示された格好だ。
近付く米大統領選
米大統領選を巡っては、民主党の最有力候補で現大統領であるジョー・バイデン氏と、法的な問題を抱えるも共和党において最有力候補者となっているドナルド・トランプ元大統領による争いになるという見方が強まっている。
来年1月にはニューハンプシャー州において民主党の予備選が予定されているが、バイデン大統領は同州を初戦州としない意向を固めており、参加しない見込みだ。また、共和党の予備選もニューハンプシャー州で同月実施される予定だ。
ニューハンプシャー州は米本土で最も無党派層の比率が高いことから、予備選の結果は米大統領選の動向に大きな影響を与える可能性がある。
参考:レポート
画像:Shutterstock
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