台湾議会は27日、暗号資産(仮想通貨)規制に関する法案の審議を開始した。「仮想通貨管理法案」と題されたこの法案は今月25日に台湾議会の立法委員によって提出されたもので、暗号資産業界の発展や顧客保護に踏まえた内容となる。
法案提出に至った背景としては、昨年発生した「テラ・ルナショック」とFTXの破綻がある。特にFTXの破綻により、台湾の投資家が被った損失は約600億台湾ドル(約2,770億円)に及ぶ。立法議員らによれは、これは世界で7番目に大きい規模だったという。
それでも暗号資産業界は成長しており、台湾も例外ではないと述べる。
一方で、市場の成長に反し台湾当局の暗号資産に関する情報収集は消極的であり、十分なデータがないと指摘。FSC(金融監督委員会)が暗号資産業界の発展に追いついていない現状を問題視した。
こうした状況が台湾における成長の潜在力を制限しているとし、改めて暗号資産業界の発展と秩序の確立、同時に顧客保護を踏まえた規制が必要になると説明した。
台湾では2021年にマネーロンダリング防止に関するガイドラインが発表され、これまで暗号資産関連企業の監督を行なってきた。しかし、それ以外には未整備な点が多く、今回法案が提出された形だ。
今回の法案では、下記について規制することを盛り込んだ。
- 暗号資産関連事業者に対するライセンス制の導入
- 主管庁が定める業界団体への加入義務
- 暗号資産の発行及び譲渡等に関する規則
- 顧客資産の分別管理
- 暗号資産関連の広告規制
- 年次報告書の提出
- 不適切な取引行為の禁止と罰則
法案ではこれまで以上に厳格な規制案を盛り込んでいるが、第三者カストディアンの利用やステーブルコインにおける裏付け資産及びアルゴリズム型の取り扱い等、日本と比べると未整備な点も見受けられる。
FSCは先月、暗号資産関連事業者を対象とした業界ガイドラインを公表している。そのなかでもライセンス制については言及されており、すでに事業を展開している海外事業者について、許可なくサービス提供を行うことを禁止している。
また、すでに事業を展開している企業については規制に関する法案が施行されてから6ヵ月以内にライセンスを取得する必要が生じる見込みだ。
参考:法案
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