2023年の暗号資産(仮想通貨)ベンチャーキャピタル(VC)によるブロックチェーンスタートアップへの出資額が、2022年の333億ドル(約4.8兆円)から68%急落し107億ドル(約1.5兆円)となったことがわかった。海外暗号資産メディア・The Blockが報じた。
資金調達のほとんどは昨年上半期に行われた。下半期は資金調達額が落ち込んだが、11月には増加している。特にプレシード、シード、シリーズAのスタートアップに割り当てられた取引の割合が増加した。一方、中期、後期段階の資金調達は2022年に比べて減少している。
NFT、ブロックチェーンゲーム、インフラストラクチャ、Web3.0領域については資金調達面で優位性が保たれたが、データ、トレーディング、エンタープライズ領域では資金調達が減少した。
その反面、資金調達額は過去3番目に高い年でもあった。2022年は「暗号資産の冬」に突入した年だったが、資金調達においては過去最高水準になるなど、暗号資産の低迷時に投資を行ったVCが多かったようだ。
ポリゴン・ベンチャーズ(Polygon Ventures)のリード・プリンシパルであるアビシェク・サクセナ(Abhishek Saxena)氏は、「マクロ経済環境、規制の不確実性、暗号資産領域の企業の破綻が残した影響を考えれば、2023年の暗号資産領域への投資が大幅に縮小されることは予想されていた」と言及。「ほとんどの投資家と起業家は、VCの資金調達があまりにも減少したことに驚いていた」と述べた。
また、「2023年は冬になって資金調達が健全に戻った。VC業界が現状を見直し、重要な優先事項に再び資金を集中させるようになった」との見解も語った。
▶︎引用:The Block
昨年、資金調達自体は減速したものの、年間投資総額の面では依然として、過去の弱気相場を上回っている。2019年から2020年にかけてのVCによる投資額は全体で64億ドル(約9,300億円)だったが、2023年は107億ドル(約1.5兆円)であるため、約2倍の結果を記録したことになる。
また、暗号資産領域へのVCの取引件数は鈍化した。昨年の取引数件数は1,819件で、2022年の2,671件に比べて32%減少した。全体としては、昨年の取引件数は2020年の月間取引件数を上回り、2021年に近い水準を維持している。
昨年のステージ別の投資配分に関しては、大部分がプレシード、シード、プレシリーズAのスタートアップに流入したが、中域と後期ステージのスタートアップの活動は減少している。
▶︎引用:The Block
11月からのVCの暗号資産への投資は回復している。ブロックチェーンゲーム領域とブロックチェーンインフラ、NFTへの期待はいまだ続いており、暗号資産市場の市況も踏まえブレイクする期待感も高くなっている。また、トレーディング部門への投資額も増加傾向をみせている。
さらに、近日ビットコイン現物ETFが実現する可能性が高いと見込まれていることから、今後を見据えた資金調達と取引が急増すると予想している。
参考:The Block
画像:Shutterstock
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