ドバイの暗号資産(仮想通貨)規制当局(VARA:The Virtual Assets Regulatory Authority)が、ライセンス申請者に対して追加情報を請求していることがわかった。5日、ブルームバーグが報じた。
背景には昨年破綻した暗号資産取引所FTXの存在があり、当局はライセンス申請者の精査を強化しているという。
大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)も例外ではなく、所有構造やガバナンス、監査手続きに関する多くの情報を提供するよう求めていると、3人の関係者は述べたようだ。
さらに、VARAはバイナンスのグローバルグループレベルでの所有権、監査、取締役会の手続きなどに関する情報も求めていると関係者は述べたという。しかし、バイナンスの企業規模は拡大し続けており、企業構造も複雑化しているため、当局への対応に時間を要しているようだ。
報道によると、バイナンスの担当者はブルームバーグに対し、「我々は積極的にVARAへ必要なすべての回答を開示してきた」と回答したという。
FTXの破綻後、バイナンスへの風当たりも強まっている。米CFTC(米国商品先物取引委員会)は先月末、デリバティブ規制に違反した疑いでバイナンスとCEOのCZ(Changpeng Zhao)氏を提訴。バイナンスはこの訴訟を「想定外」とし、CFTCへ数年間にわたり協力してきただけに「失望した」と述べた。
ドバイは昨年より暗号資産関連企業を誘致すべく、規制整備に乗り出している。また、バイナンスも中東での事業拡大を睨みドバイを重要戦略区として定め、注力する姿勢をみせていた。
本社を構えていないことで知られるバイナンスだが、複数の都市と並びドバイを拠点とする可能性も指摘されている。それだけに、こうした形で足踏みすることは想定外であったといえるだろう。
ブルームバーグによれば、当初バイナンスは「バイナンスFZE」という事業体を通じて中東で暗号資産取引所サービスを提供する計画であった。しかし、バイナンスFZEのローンチは運用上の理由により延期されている。
参考:ブルームバーグ
画像:Shutterstock