暗号資産(仮想通貨)ウォレットを開発するスタートアップ企業のエクソダス・ムーブメント(Exodus Movement)は、SEC(米証券取引委員会)の審査により、NYSE(ニューヨーク証券取引所)への株式上場を延期すると発表した。
当初はティッカー「EXOD」で9日に上場予定だった。SECが同社の登録届出書の審査を完了するまで、株式上場は延期するとNYSEより通知されたという。ただし、エクソダスの株式は引き続き、OTC MarketsのOTCQXで取引することが可能であると説明している。
エクソダスは9日、X(旧Twitter)の公式アカウントで「本日、SECは土壇場で驚くべき決定を下し、エクソダスがNYSE Americanに上場することを遅延させた。私たちは非常に残念に思っているが、エクソダスは今後も世界中の顧客が当社が開発する最高クラスのセルフカストディ暗号資産ウォレットを使用して、自身の資産を管理できるようにしていく」と述べた。
また、エクソダスのCEOであるジェイピー・リチャードソン(JP Richardson)氏は声明で、「土壇場での決定に驚き、当惑しているが、SECが法律の意図通りに我々を扱うという公約を実行することを期待し続ける」と語った。
リチャードソン氏は以前、NYSE Americanへの上場は同社のプレゼンスを拡大し、流動性を高めることに役立つと述べていた。同氏はSECの審査が完了次第、将来的なNYSEでの株式上場を再検討する可能性があると付け加えている。
SECによる取り締まり強化が影響か
近年、SECは暗号資産関連企業の取り締まりを強化しており、こうした事情が今回の審査遅延にも影響を及ぼしている可能性がある。SECはすでにコインベース(Coinbase)やバイナンス(Binance)などといった暗号資産取引所のほか、先月にはコンセンシス(Consensys)及びユニスワップ(Uniswap)にもウェルズ通知(Wells Notice)を通達している。
これらはいずれも未登録証券としてみなされる暗号資産に関連したサービスを投資家に提供しているとして警告されたものだ。
エクソダスは2015年に設立された企業で、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、さまざまな暗号資産に対応したウォレットを提供している。2024年第1四半期には、前年同期比118%増の2,910万ドル(約45億円)の収益を記録。同期間中の月間アクティブユーザー数は約169万人だという。
参考:発表
画像:Shutterstock
関連記事
ロビンフッド、SECから強制執行の警告を受け取ったと発表
米コンセンシス、イーサリアムの有価証券化判断を巡りSECを提訴