大和証券や楽天証券など国内企業7社は、利息の全額を電子マネーで支払う「公募型セキュリティトークン(ST)社債」を発行することを発表した。本社債は、納税分を除いた利息の支払いの全額が電子マネーとなる国内初の試みだ。
協業するのは大和証券グループ本社、大和証券、楽天証券、楽天ペイメント、みずほ銀行、三菱UFJ信託銀行、プログマ(Progmat)の7社。
公募型セキュリティトークン社債とは、社債の募集に際し、EDINETで有価証券届出書、または発行登録書と発行登録追補書類が提出されているセキュリティトークン社債を指している。
公募型セキュリティトークン社債の銘柄は「第1回無担保セキュリティトークン社債(社債間限定同順位特約および譲渡制限付)」で、総額10億円となり、個人投資家向けに公募が行われる。なお、本社債の愛称は「大和証券グループ本社セキュリティトークン社債」だ。
利息が支払われる電子マネーは、楽天ペイメント傘下の楽天Edyが発行する「楽天キャッシュ(基本型)」。楽天キャッシュは、楽天ペイアプリを使うことで店舗やネットで支払うことができる。年限は1年で、利息は現時点で0.8%を予定している。なお、電子マネーを付与することができない場合、利息全額を金銭で支払われることもあるという。
大和証券と楽天証券が引き受け、社債管理者がみずほ銀行、社債原簿管理者は三菱UFJ信託銀行が務める。また、本社債はプログマがライセンス提供するデジタルアセット全般の発行・管理基盤「Progmat」を活用して発行される。
今後、本社債を皮切りとしてマーケティング等の観点から現金以外の利払いを検討している発行会社に対して、あらたな資金調達法の提供を行なっていく。また、投資家にとって魅力的な投資機会の提供を行い、社会に対してあらたな価値を提供していくという。
セキュリティトークン領域で各社積極的な動き
大和証券グループは、中期経営計画「”Passion for the Best”2023」の実現に向け、セキュリティトークン及びブロックチェーンを重要技術と位置付け、積極的に取り組んでいる。2022年2月に不動産STを事業化して以来、約297億円の不動産STの引受・募集を行っており、大和証券は2024年1月末時点で、引受金額ベースで国内トップのシェアを有している。
またデジタル通貨やデジタル決済への取り組みとして、大和証券2021年2月、ブロックチェーンを活用したデジタル社債発行の実証実験を行い、国内で初めてデジタルコインを対価としたデジタル社債発行の実証実験を行い、デジタル社債の発行、買入消却に成功した。
楽天グループは国内初となる「楽天キャッシュ」を利用した投信積立ができるサービスを展開するなど、キャッシュレスを活用した投資商品の拡充により、個人資産の形成、投資活動をサポートしている。
みずほ銀行は公社債受託ビジネスのトップとして長年にわたり経験を活用しセキュリティトークン債における社債管理や資金決済実務の構築を牽引してきた。
三菱UFJ信託銀行はProgmatを用いて本社債の社債原簿の管理と秘密鍵のカストディを行う。Progmatを活用した公募事例は23事例、原簿管理対象資産残高は約1,229億円となる。
参考:発表
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