国内暗号資産(仮想通貨)取引所FTX JapanのCOOであるセス・メラメド(Seth Melamed)氏は28日、取引所の準備金が顧客の預かり資産を上回っていることを証明するブロックチェーンのテクノロジーを活用した支払い能力証明「PoS(Proof of Solvency)」をリリースしたことを発表した。
PoSは暗号資産市場、さらに従来の金融の市場参加者にとって重要な問題である取引所や金融機関に資産を預託している市場参加者に対して、より安全性をもって情報の透明性を保った形で情報を提供する技術的な問題に対応できるものであるという。
FTX Japanは法令に則り、顧客資産の分別管理を厳格に実施してきたが、その上でさらにPoSを導入する。これにより、経営陣や作業担当者しか把握できない認証や主張に代わり、数字とゼロ知識証明といった暗号技術による証明とその結果をブロックチェーンに反映し、顧客が自身の預かり資産の管理状況を客観的に確認することが可能となる。
PoSサービスはFTX Japan、Liquid Japanプラットフォームのすべての顧客が対象だ。ユーザーは数回クリックするだけで残高を確認できるようになるという。詳細はイーサリアムブロックチェーン上で毎週公開される。
PoSの使い方は、Liquidにログインし、Liquid Proof of Solvencyのページにアクセスする。その後、Liquid Proof of Solvencyのページの証明書セクションから最新の証明書をダウンロードし、その際に記録がまだない場合は時間を空けてから試行する。
証明書をダウンロードした後、証明書を検証するサードパーティのサイト(solvenscan.io)にアクセスし、ダウンロードした証明書を最新の状態にする。証明書をアップロードした後、証明書を検証するボタンをクリック。証明書と照合され、マークルルートで確認された残高が表示される。
また、ページ全体をスクロールしてみることも可能で、別の証明書を検証するボタンをクリックすれば、別の証明書も確認することができる。
今回の取り組みでは、客観的かつ信頼できる証明書を発行することで、ユーザーの信頼を一定程度回復する狙いが透ける。また、背景には金融庁に対して誠意ある対応を行なっているというアクションを示す狙いもありそうだ。
金融庁は今月8日、FTX Japanに対して発出していた資産の国内保有命令の期限が迫ることを踏まえ、延長を発表。今年12月9日まで非居住者に対する債務を除く負債に相当する資産を国内に保有するよう命じている。
参考:メラメド氏発表、金融庁発表
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