昨年11月に破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが、グーグル(Google)やブラックロック(BlackRock)らから資金調達を行うことを計画していたことがわかった。
これは現在行われているFTX元CEOのサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)被告が詐欺罪などに問われている裁判で明らかになったものだ。
FTXの法務顧問であったキャン・サン(Can Sun)氏が提出した資金調達に関する文書によると、2022年の夏から秋にかけて計画された資金調達ラウンドで、グーグルやブラックロック、カタールの政府系ファンド・カタール投資庁を含む15社を「潜在顧客」とみなし、早急に出資に引き込むよう記載されていたという。
そのなかで、FTXの顧客引き出しによる流動性の問題を解決するべく、大手投資ファンドのアポロ(Apollo)には実際に出資を要請したようだ。
サン氏によると、グーグル及びブラックロックが出資を行う可能性は五分五分だった。FTXが破綻する前には両者とも同取引所についてデューデリジェンスを行っていたという。
一方、シンガポールの政府系ファンドであるテマセク(Temasek)及び米VCのスタンダード・クリプト(Standard Crypto)は高確率で投資する投資家として分類されていたようだ。実際、テマセクは過去にFTXに対して数百億円レベルの出資を行っている。また、a16zなど6社は同タイミングで出資を辞退したという。
しかしサン氏によれば、いずれの企業も「投資を行う前」であり、実際には資金を投じていなかったとしている。
資金調達を巡っては、FTX破綻直前にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子からの出資を模索していたことがバンクマン=フリード被告の側近であったアラメダ・リサーチ(Arameda Research)の元CEOであるキャロライン・エリソン(Caroline Ellison)氏によって明かされている。
現在、バンクマン=フリード被告は詐欺罪など7つの罪に問われている。同氏はすべての罪に対して無罪を主張しているが、有罪となった場合には最大で100年を超える懲役を科せられる可能性がある。
すでに裁判は始まっており、最大で来月9日まで続く予定だ。
参考:Decrypt
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