G7(主要7ヵ国)が、暗号資産(仮想通貨)の個人間取引について規制整備の検討をFATF(金融活動作業部会)に要請する方針であることがわかった。11日、日本経済新聞が報じた。
現在、マネーロンダリング対策(AML)及びテロ資金供与対策(CFT)の一環で、暗号資産交換業者等のサービス事業者間の取引については「トラベルルール」により暗号資産の送受金者に関する情報を一部通知する必要がある。一方、個人間取引については監視強化の是非が課題となっていた。
今年のG7サミットは日本が議長国を務め、今月19日より広島で開催される。
今回報じられた規制検討については、G7サミットの前に行われる財務省・中央銀行総裁会議で金融規制を議論する際に課題や必要な対策の検証を求める見込みだ。
具体策については、FATFが提案・実施するという。不正な個人間取引が行われないよう、暗号資産交換業者に厳格な顧客管理を求めるほか、民間の分析会社と規制当局が連携し、疑わしい取引の実態を精密に把握する対策などが考えられるとしている。
日本経済新聞によれば、金融当局者からは「新興国も含め、暗号資産が急速に広がっており野放しにできない」との声があがっているという。
暗号資産の個人間取引は、麻薬の違法取引や詐欺を始めとする犯罪等の不正資金の送受金で利用されている事例も多いとの見方は強い。
ブロックチェーンは透明性が高く取引を追跡可能な点が特徴だ。その一方で、取引の追跡を困難にする暗号資産のミキシングサービスなども存在する。
ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)によると、暗号資産を利用したマネロンは2022年に前年比68%増の238億ドル(約3兆2,000億円)に達したという。
なかでも個人間取引によるマネロンが多く、G7は規制に向けたハードルが高いことを踏まえても検討すべきだと判断したようだ。
参考:日本経済新聞
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