GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は19日、資産運用の多様化にむけ、暗号資産(仮想通貨)に関する情報提供を求めると発表した。
GPIFが現在運用対象資産としている国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、不動産等以外の低流動性資産として、ビットコイン(BTC)などの暗号資産、森林、農地、金(ゴールド)に関する基本的な情報を募るとしている。また、海外年金基金の投資事例、投資哲学・組織体制、機関投資家がどのようにポートフォリオに組み込んでいるかなどの情報も求めるという。
GPIFは国内外の株式や債券やインフラ、不動産などのオルタナティブ資産に分散投資をしている。運用資産額は2023年12月時点で約225兆円と巨額だ。現在、世界最大の年金基金として認知されている。運用会社は小規模な企業は含まれておらず、野村證券など大手が占めている。
情報提供の対象とした資産に関する幅広くも基本的知識に加えて、海外年金基金がどのようにこれらの資産をポートフォリオに組み込んでいるかなどの現状や、実際の投資事例についても情報を募っている。
GPIFの資産運用の多様化については近年特に顕著となっている。2022年秋以降は、北米株や先進国の株式、日本株でアクティブファンドなどあたらしく56本選定して話題となっていた。
内容的には、日本株のアクティブファンドが23本、北米株と先進国株でそれぞれ19本と14本のアクティブファンドを採用した。公表資料によると、契約締結日は2023年12月7日で、運用委託先はピクテ・ジャパン、三井住友トラスト・アセットマネジメント、東京海上アセットマネジメントなどの大手だ。
今後、あらたに暗号資産を投資対象することになれば、運用のさらなる多様化が進むことになり、また暗号資産市場にも強力なインパクトを与えることになる。
なお、今回の発表はあくまで情報提供を求めるものではあり、将来的に暗号資産を投資対象とすることを決定したものではない。発表資料によると、集めた情報を参考に今後調査研究の可否を検討するとしている。しかし、情報提供を求めるということで、近い将来に暗号資産を投資対象とする可能性も十分にある。
GPIFはファンドの選定に当たり、データサイエンスを活用している。宮園雅敬理事長は2023年のブルームバーグのイベントで「運用資産の規模や、新興か老舗かといった要素に関わらず」ファンドを選択するという考え方を示していた。
暗号資産の情報を収集する背景には、米国でビットコイン現物ETFが承認され、上場後市場にインパクトを与えていることなどがあるものとみられる。
参考:GPIF
画像:Shutterstock
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