大手投資銀行ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の大口顧客が、暗号資産(仮想通貨)ファンドへの関心を高めていることがわかった。25日、同行のアジア太平洋・デジタル資産部門責任者であるマックス・ミントン(Max Minton)氏がブルームバーグの取材で明かした。
ミントン氏はブルームバーグに対して「最近のビットコイン(BTC)現物ETFの承認をきっかけとして、顧客の関心が高まり、活動している」と語った。
ミントン氏による、とゴールドマン・サックスの顧客による関心の大部分はビットコイン現物ETFに向けられており、さらにイーサリアム(ETH)現物ETFが承認されれば、状況が変わる可能性があると述べた。
イーサリアム現物ETFを巡っては、20日にSEC(米証券取引委員会)がイーサリアムに関する調査を開始したとの一報を受け、5月に承認期限を迎えるものについては実現の可能性が遠ざかったとの指摘もある。
ゴールドマン・サックスは2021年に暗号資産トレーディングデスクを立ち上げ、現在はCME上場のビットコイン及びイーサリアム先物に加え、現金決済のビットコインオプション取引とイーサリアムオプション取引を提供している。
ミントン氏は「昨年は平穏な年だったが、年初からオンボーディング、パイプライン、ボリュームに対するクライアントの関心が高まっている」と述べた。
需要の大部分は、ゴールドマン・サックスの既存顧客、伝統的なヘッジファンドなど機関投資家によるこものだという。また、同行は資産運用会社、銀行顧客、一部のデジタル資産会社を含む「より幅広い顧客」に拡大していると述べた。顧客は利回りの向上やヘッジ目的として暗号資産デリバティブを利用しているという。
ゴールマン・サックスはブロックチェーンを利用したRWA(現実資産)のトークン化にも取り組んでいる。「GS DAP」と呼ばれるデジタル資産プラットフォームを立ち上げ、最近では銀行、資産管理会社、取引所を接続するブロックチェーンネットワークのパイロットテストにも参加している。
ETFを通じた暗号資産への関心の変化
ゴールドマン・サックスのデジタル資産部門責任者マシュー・マクダーモット(Mathew McDermott)氏はロンドンで開催された暗号資産関連のカンファレンスで「機関投資家が暗号資産市場に関心を示している」と語った。さらに「価格動向は依然として主に個人投資家によって動かされている。しかし、金融機関などの機関投資家も参入し始めている。今では投資意欲が変化していることがよくわかる」と述べている。
一方で、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)のデジタル資産責任者であるロバート・ミッチニック(Robert Mitchnick)氏は別のカンファレンスで、「ビットコインと比べるとイーサリアムの関心は低い」と指摘。あくまでもビットコインに注目が集まっている状況であり、そのほかの銘柄については懐疑的な姿勢をみせているとの見方を示した。
参考:ブルームバーグ
画像:Shutterstock
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