Web3.0事業を展開する博報堂キースリーは10日「DID/VC共創コンソーシアム」(Decentralized Identifier/Verifiable Credential Co-Creation Consortium=DVCC)の設立を発表した。
DVCCでは、分散型ID(Decentralized Identifier=DID)と連携したデジタル証明書(Verifinable Credential=VC)のビジネス共創を目指すとともに、DIDとVCの社会実装と、普及を促進する相互運用ルールを整備し、社会課題の解決による社会貢献や、本技術を活用したあらたなビジネスを共創していく。
本コンソーシアムの参加企業は、三菱UFJ信託銀行、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ、TOPPANデジタル、日立製作所、富士通、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業。
博報堂キースリーは、博報堂とAster NetworkのCEO、渡辺創太氏が2022年12月に設立したWeb3.0事業プロデュース企業だ。
DVCC設立の背景として、デジタル技術が現代社会に浸透してきたことがある。
現代社会において、データの価値がかつてないほど高まっている。それに伴い「やり取りしている相手は本人であるのか」「やりとりしている情報は信頼できる内容であるのか」「自身の情報を勝手に使われていないのか」などのセキュリティやプライバシーに関する課題が生じている。
内閣官房デジタル市場競争本部のTrusted Web推進協議会から2021年3月にTrusted Webに関するホワイトペーパーが公表された。また、さまざまな団体や企業でも自己主権型アイデンティティ(Self-Sovereign Identity=SSI)というキーワードのもと広く検討が行われている。
個人が自分自身に関する情報を自己管理するという秘匿性、改ざん耐性やトレーサビリティという安全性、一度証明された情報を個人が持ち運びできる利便性、これらを担保し、安心安全で便利な認証や証明を実現する手段の1つがDIDとVCだ。
DIDとVCは前述の機能を備えることからグローバル的に期待が高まっており、社会的普及が課題となっている。課題解決に向けた取り組みとして、博報堂キースリーではDataGateway社と共同でDID/VCを活用したデータウォレット「wappa」を提供している。
DVCCは情報管理の課題解決を目指し、その手段となるDID/VCに着目した。日本でのビジネスユースケースの実証、相互運用ルール整備を行い、本技術を活用したビジネス共創を通してDID/VCの社会的普及を促進させるため、4つの活動に取り組む。
- 「ビジネス共創」
ユースケースのシェアや共同検討を行い、実証実験や事業を共同推進していく。
- 「相互運用に向けたルール整備」
コンソーシアム参加企業間で一定の相互運用性を確保するため、ビジネスに関するルールを整備していく。
- 「資源の共通利用」
効率性の観点から必要に応じて参加企業間でシステムや基盤などを共通利用していく。
- 「国・省庁など外部との情報連携」
必要に応じて国や省庁などと適宜情報を共有・連携していく。
今後は、参加企業8社でルール整備分科会での協議を10月より開始する。また、相互運用性の確保に向けて優先度の高い汎用的な検討事項を協議していく。さらに複数の事業会社の参加を調整し、ビジネス共創分科会を立ち上げる予定だという。
参考:発表
画像:発表より引用