北國銀行は27日、石川県珠洲市、興能信用金庫、Digital Platformer(以下、DP社)と共同で、珠洲市でブロックチェーンを活用したステーブルコインの流通を開始することを発表した。
珠洲市のデジタル化とキャッシュレス決済比率向上による生産性向上の実現を目指す。
今年8月頃に、個人の顧客が利用可能となるデジタル地域通貨サービス「珠洲トチツーカ」のアプリ提供と加盟店での決済で利用可能な珠洲市が発行するポイント「珠洲トチポ」を開始する。これまで独自で提供してきた健康ポイントや自然共生ポイントなどが珠洲トチポに統合される予定だ。
また、12月に北國銀行が発行体となる珠洲市内で利用可能なステーブルコイン「珠洲トチカ」の流通開始を計画しているという。市民は自分の預金口座などから直接チャージできる予定だ。
珠洲トチカを利用した決済では、加盟店が負担する決済手数料を国内のみならず、国際的にも最低水準に近い0.5%に設定するという。
安価なキャッシュレス決済手段が普及することで、地域内でのキャッシュレス決済比率の向上や、珠洲市内のポイント制度などのデジタル化を実現し、地域の資金循環に貢献すると共に生産性の向上を目指していくという。
その後の展開として、石川県内の各市町との連携を進め、ブロックチェーンの相互運用性を活用し、県内全域で流通する「石川トチカ」の発行、流通の実現を計画している。
本プロジェクトでは、個人の顧客や事業者の取引金融機関を問わず利用可能な決済システムの構築を目指しているという。
珠洲市や奥能登地域では、興能信用金庫と北國銀行の両社が協働して普及と利用促進活動を行う。
他地域においても、各市町と地域金融機関が一体となり、デジタル地域通貨の利用を促進することで、地域の住民に利便性の高い決済手段を提供すると共に、行政サービスの向上や生産性向上を実現できるように取り組んでいくとしている。
本プロジェクトでの決済データの記録、管理に用いるブロックチェーン基盤はDP社が開発するデジタル通貨・分散型ID発行プラットフォーム「SHIKI」だ。
同社はカンボジアのCBDC(中央銀行デジタル通貨)開発で採用実績のある「ハイパーレジャー・いろは」を基盤として「LITA(リタ)」を開発。さらに、DID(Decentralized ID)発行サービス「MyDID」や、大阪府豊能町でローンチされた「とよのんウォレット」でデジタル地域復興券・DIDの発行プラットフォームを提供している。
SHIKIはコンソーシアム型ブロックチェーンを活用したプラットフォームで、標準機能としてDIDの発行、デジタル地域通貨の発行、デジタル証明の発行といった機能を搭載している。
参考:北國銀行
画像:Shutterstock