ジャネット・イエレン(Janet Louise Yellen)財務長官は6日、あらためて議員らに暗号資産(仮想通貨)関連規制を早急に策定するよう要求した。
FSOC(金融安定監視評議会)の議長を務めるイエレン氏は下院金融サービス委員会の公聴会に出席し、「デジタル資産に関して、明確な規制権限を持っている分野が数多くあるが、いくつかのギャップがあることも確認している」とした上で、議員らに対し「暗号資産にはリスクがある」と述べ、デジタル資産プラットフォームでの取引の可能性と「暗号資産の価値変動による脆弱性」を指摘した。
また、パトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長が、下院において超党派による2つの法案を作成したことに言及した際、イエレン氏はこれらの取り組みについて「失敗に終わった」と指摘した。法案は、1つ目はステーブルコインに関するもので、2つ目は暗号資産市場の構造に関するものであった。
続けて、イエレン氏は「ステーブルコインは金融システムにリスクをもたらしており、FSOCと金融市場に関する大統領作業部会はいずれも時間の経過とともに重大になる可能性がある。こうしたリスクに対処するために適切な規制枠組みを構築する議会の取り組みを我々は非常に歓迎する」と述べた。
ニューヨーク州やワイオミング州など一部の州は、ステーブルコイン発行者向けに独自の規制ガイドラインの策定に着手している。決済ステーブルコインの明確化に関する法案に関しては、金融委員会を通過したものの、民主党と共和党の間で議論が紛糾し、全議場での採決は予定されていない状況だ。
イエレン氏は「FSOCはすべての州に適用される連邦規制の存在が重要であると信じている。連邦規制当局は、ステーブルコイン発行者がそのような資産の発行を禁止されるべきかどうかを決定する権限を持つべきだ」と主張した。
さらに、暗号資産を含むデジタル資産が金融安定に対するリスクであると指摘し、連邦政府機関に現物市場を規制する権限を与えることを議会に要請した。
イエレン氏は今週後半に上院に出席し、同報告書を精査する予定であるという。
参考:公聴会
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