JCBA(一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会)は26日、JVCEA(一般社団法人日本暗号資産取引業協会)に対してIEO制度の自主規制改革の初期案を提出したことを発表した。
IEO(Initial Exchange Offering)とは、多種多様な事業者が活用可能な、暗号資産(仮想通貨)交換業者を仲介役としてトークンセールを行う資金調達手段だ。
金融庁監督下の暗号資産交換業者により、プロジェクトの実現可能性について審査や継続的なモニタリングが実施されることから、信頼性の向上が図られる制度となっている。
また、IEOを巡っては令和5年度税制改正において自社発行トークンに関する法人税の期末時価評価課税の適用除外要件が定められたなど、環境面でも整備されてきた。
現時点で国内のIEO事例は4件となっている。第1号案件であるパレットトークン(PLT)を通じた資金調達額は9億円を超えた。JCBAによれば、4例のトークン販売総額合計は44億円を超えている。
しかし、IEOはあたらしい制度であることから、事業者や利用者が安心して活用するためにはトークン価格の安定性や制度の運用方法などの仕組みに課題がある。
JCBAのICO・IEO部会は、暗号資産やWeb3.0に関わってきた知見から事業者が主体となり、IEO制度の在り方について本年5月から議論を重ねてきたという。
JCBAは日本のIEO制度において価格の安定操作や売却制限が整備されることで、海外取引所を利用するよりも国内の規制下で自己資産を管理することを促進できるようになり、利用者保護にもつながると主張する。
今回の提言はJCBA単独で議論をした初期案となる。今後は各関係機関と、自主規制規則の範疇における実現性の有無について協議を重ね検証していく。
JCBAはIEO制度改革における4つのアジェンダとして、下記をあげている。
- :価格算定:算定方法の多様化と価格に関する注意喚起の明記
- :流動性:上場時流動性目標の設定と流動性が確保可能な環境整備
- :安定操作:上場時の価格安定化措置に関するルール整備
- :売却制限:発行体・引受交換業者へのロックアップの制度化・厳格化」
このほか、提出資料ではIEO健全化に向けた環境整備の議論の方向性についても盛り込んだ。
JCBAのICO・IEO部会長である吉田世博氏はIEO制度の整備について、「日本のWeb3.0産業の発展を加速させる可能性を持つ一方、黎明期であることから課題も顕になってきている」と述べる。その上で、今後は関係者が一丸となり自主規制ルールを制定していく考えを示した。
参考:発表
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