DAOの健全な発展のための環境整備を行う組織として、4月1日に「日本DAO協会」が設立する。同日に渋谷で設立発表会を行う。メンバーは弁護士や行政書士、DAOサービス開発企業などで構成されるという。
現在、あたらしい組織形態であるDAOを巡る動きが日本国内で活発化している。自民党デジタル社会推進本部とWeb3.0プロジェクトチームにおいても昨年、「合同会社型DAO」の設立に向けた提言が行われるなど、取り組みが加速している状況だ。その一方で、DAOはさまざまな課題も抱えている。
DAOは「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、中央集権的な管理者が存在せず、共通の想いや目標、目的を持った参加者の投票によって運営方針を決定していく「自律分散型組織」だ。
DAOには「年齢、性別、組織、国籍、人種などに関係なく、自分の共感するDAOに匿名で参加できる」「それぞれが得意なことを活かしてDAOの発展に貢献できる」「組織運営がスマートコントラクトを活用することで、透明性が高く、運営費用を抑えることができる」などの特徴がある。
こうした特徴から、現代の資本主義、新自由主義が引き起こしているさまざまな問題や、人口減少による問題の解決策になるとも考えられていると日本DAO協会は説明している。一方で、DAOの可能性に懐疑を持つ人も多く、不正事案の発生やトラブルも予想されていると指摘する。そのため、自主規制、健全なエコシステム作りが今後さらに必要となる。
DAO形態で運営する世界初の試み
DAOを巡っては、ルールメイクの一貫として4月1日にDAOによる資金調達を可能にするための府令改正が公布される。こうした状況を鑑みて、日本DAO協会は、弁護士、行政書士、DAOサービス開発企業、Web3.0プレーヤー、主婦、学生などの有志が集まり、自律的で分散型かつ事業者主体でのルールや雛形の策定、健全・適法なDAOの認証などを行うという。
また、日本DAO協会は政府のカウンターパートとなる自主規制団体自体をDAOの形態で運営するというのは「世界初のチャレンジングな試み」と述べている。
初期はトラブル等も予想されるが、1年間は実証実験フェーズと定め、ステークホルダー全員でアジャイルに作り上げていくことを目指していくとしている。この在り方自体が、「日本や世界に対する大きなメッセージだ」と主張した。
DAO運営のガイドライン等の策定に取り組む
日本DAO協会は目的として「DAOが健全に発展できる仕組みを作ること」「日本でDAOのモデルケースを作り世界へ影響を与えること」「資本主義と民主主義を刷新すること」をあげた。
今後の具体的な活動として、下記について取り組むという。
- 日本国内におけるDAOの運営に関するガイドラインを策定し、それらの実践的な運用を支援する
- DAO及びDAOツールの認証
- 定款・諸規則・契約書の雛形を提供する
- DAOの教育と啓発、普及活動を行う
- DAO関連コミュニティの運営を行う
- 意見集約と政策提言
- 実践と理論の集積と研究」
なお、日本DAO協会は一般社団法人として始めるが、DAOの理念を体現したいという創立メンバーの想いから、法的な代表理事は存在するものの、外部とのコンタクト、声明等に関しては有志一同としてメンバーの総意、意思を示していくという。
参考:発表
画像:Shutterstock
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