暗号資産(仮想通貨)の国内自主規制団体JVCEA(日本暗号資産取引業協会)及びJCBA(日本暗号資産ビジネス協会)が、暗号資産レバレッジ取引における証拠金倍率の上限引き上げを金融庁や政府関係者に求める方針であることがわかった。20日、ブルームバーグが報じた。
現在の証拠金倍率は2倍であり、2020年5月の法改正に伴って、それまでの25倍から大幅に引き下げられた。
証拠金取引額は猶予期間が設けられた2020年が97兆円超であったのに対し、2021年は約37兆円、2022年は約15兆円と、年々大幅に減少している。
こうした状況を踏まえ、上限を引き上げることで国内暗号資産取引の活性化につなげる狙いがある。現時点で日本における暗号資産レバレッジ取引の9割超が個人によるものだが、市場を活性化させることで機関投資家の参入も見込む。
ブルームバーグの取材に応じたJVCEAの小田玄紀副会長によれば、JCBAと原案をまとめ、連名で金融庁及び政府関係者に要望するという。
小田氏は、政府が暗号資産やブロックチェーンを活用したWeb3.0の推進に向け動くなか、暗号資産取引が活発化されることで「日本に暗号資産関連の会社が集まってくる」と指摘した。
現在、比較対象にもあげられることがある外国為替取引の証拠金は最大で25倍となっているが、実際には6〜8倍程度の取引が多い。そのため、JVCEAの会員各社からは4〜10倍に上限を引き上げる声があがっているという。
一方で、暗号資産は価格変動が激しいことでも知られており、そのなかで証拠金倍率が1度引き下げられていることから、改定に向けたハードルは高い。
ブルームバーグによると、金融庁の担当者は証拠金倍率上限の引き上げについて議論に前向きであるものの、説得力のある理由を提示しなければならないと指摘したようだ。
またあわせて、証拠金倍率の上限を引き上げることが現時点でWeb3.0の推進に関する政府方針とどのように関連していくのか不明確だと述べている。
参考:ブルームバーグ
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