ケニア議会が、暗号資産(仮想通貨)ワールドコイン(WLD)の活動を調査するため調査委員会を設立したがわかった。21日、地元メディア・ザ・スター(THE STAR)が報じた。
報道によると、15人のメンバーからなる調査委員会は、ナロク西部議員のガブリエル・トンゴヨ(Gabriel Tongoyo)氏が議長を務めるという。
ほかのメンバーは管理と内部セキュリティ、コミュニケーション・イノベーション、観光と野生生物に関する部門委員会のなかから選出される。
国会議長のモーゼス・ウェタングラ(Moses Wetangula)氏は、委員会において調査を行い、42日以内に下院へ報告すると述べた。
この委員会の設置は、キンディキ・キスレ(Kindiki Kithure)内務大臣とICT担当官のエリウド・オワロ(Eliud Owalo)氏が、ワールドコインに関する問題で2度目の議会出席が見込まれていた時期に行われた。
キスレ氏は最初の会合で議員に対し、政府がケニア国民や国民に関与する可能性のある団体によるワールドコイン関連の活動を停止したことを改めて報告。その上で、ケニア政府はワールドコインによる虹彩データの収集に懸念を抱いていると指摘したという。
また、キスレ氏は関連する治安、金融サービス、保護機関がワールドコインの活動の信頼性と合法性を確立するため調査を開始したことを明らかにした。同時に、裁判所もまたデータコミッショナー事務所が提起した訴訟の判決が下されるまで同社の活動を停止した。
ワールドコインはOpenAIのCEOである、サム・アルトマン(Samuel Altman)氏が共同創業したプロジェクトだ。プロジェクトを通じてベーシックインカムの実現をビジョンとして掲げる。
ワールドコインでは「オーブ(Orb)」と呼ばれる機器で目の虹彩を読み取り、「ワールドID(World ID)」というIDを生成する。これにより、虹彩から本人確認を行うことが可能となる。
このIDを生成することで、現在ワールドコインを無償で受け取ることが可能だ。先月、さまざまな海外暗号資産(仮想通貨)取引所に上場したことから注目度が高まっていた。ワールドコインによれば、すでに先月の時点で200万人以上のユーザーデータを取得したという。
日に日に注目度が高まる一方、セキュリティやプライバシーに関しては一部で不明確な点があるとして疑問視する声もあり、実際ナイジェリアや英国など複数の国において調査対象となっている。
参考:報道
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