DEX(分散型取引所)集約プラットフォームカイバースワップ(KyberSwap)が約4,800万ドル(約68億円)相当の暗号資産(仮想通貨)を盗み出されたハッキング事件で、ハッカーが同社の経営権の譲渡等を求めたことがわかった。
プロトコルを開発するカイバーネットワーク(KyberNetwork)は23日、X(旧Twitter)の公式アカウントでハッキング被害を報告、ユーザーに対して速やかに資金を引き出すことを求めていた。
先月30日、ハッカーは盗み出した資金の償還条件を開示。この要求は、カイバースワップがハッキング被害にあった資金の90%を返還することで、残り10%は報酬として差し出すと提案したことを受けてのものだ。
従業員の給料2倍等を条件として提示
ハッカーはオンチェーン上でエンコードされたメッセージにおいて、和解案として次の要求を行っている。
- カイバーネットワークの完全な経営権の破棄
- KyberDAOに対する完全な権限
- カイバーの構造、収益、運営、財務、経費、給与、投資家、資産、負債に関する機密文書のアクセス
- Webサイト、社会的資格情報、知的財産、株式、トークンを含む会社のオンチェーンとオフチェーンの資産の破棄
これらのすべての要求が満たされれば和解が進むと述べた。
また自らを「カイバーディレクター(Kyber Director)」と称し、正当な報酬額と引き換えに会社の経営陣らを正当な評価額で買収し、彼らの今後の活躍を期待すると述べている。さらに、自分の支配下では従業員の給料は2倍にし、会社を去ることを選択する従業員については12ヵ月の退職金と福利厚生の提供、転職支援を行うとしている。
ハッカーはカイバーネットワークのトークン保有者や投資家に対し、「私の管理下でカイバーは完全に生まれ変わる。7番目に人気のあるDEXではなく、まったくあたらしい暗号資産プロジェクトになる」と述べた。
続けて、流動性プロバイダーに関して、最近のマーケットメイク活動に対して発生した損失の50%の還元を行うとも約束をし、「おそらくこれはあなた方が望んでいる資金よりも少ないことは承知している。しかし、あなたが受け取るに値する以上のものだ」と語った。
ハッカーは和解期限を12月10日と定めている。もしこの要求をカイバーが拒否すればいかなる返金にも応じないとしている。ハッカーはカイバーのプロトコルに可能性を見出していることから、ハッキングにより取得した資金は同社の成長と発展を目的に運用で使用すると主張した。
なお、和解期限が迫っているがカイバー経営陣はまだ回答をしていない。
参考:オンチェーンメッセージ
画像:Shutterstock
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