インターネット決済大手のペイパル(PayPal)が、英国のFCA(金融行動監視機構)から暗号資産(仮想通貨)サービス提供の認可をペイパルUK(PayPal UK)として取得したことが明らかになった。
FCAの発表によると、ペイパルUKは先月31日から特定の暗号資産取引でのみ有効になったとされている。
ペイパルは英国の顧客に提供されているすべてのサービスをペイパルUKに移管する。今後暗号資産サービスの提供については、米ペイパルではなく英国拠点のペイパルUKが行うことになる。
現在、英国の暗号資産市場は暗号資産規制の導入を待っているところだが、規制の導入以前であっても、暗号資産サービス提供を希望する企業はマネーロンダリングやテロ資金供与に使用されることに対する措置を講じていることをFCAに示す必要がある。
現時点でペイパルUKは新規顧客を獲得できず、既存顧客は暗号資産の保有と販売のみが可能となっている。また、ステーキングサービスの提供や暗号資産の貸し借りなどDeFiへの参加なども制限されている。
2021年、暗号資産の売買を開始したペイパルは、英国の顧客による暗号資産の購入を同年10月1日から一時停止し、再開は2024年初頭になる予定だと発表していた。
理由はFCAからの要請で、暗号資産を購入するユーザーがリスクを理解できるようにするため、英国の消費者に対して暗号資産を宣伝する業者に厳しい新規定を導入したことによるものとされている。
ペイパルの担当者は今後も各国の規制当局と緊密に連携し、事業を展開する市場で適用される規則や規制を遵守していくと語った。
ペイパルは8月、ステーブルコインのペイパルUSD(PYUSD)を発表し、あたらしい領域でも決済大手の存在感を示し始めている。
参考:発表
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