東証スタンダードに上場するメタプラネットは8日、資金管理戦略の一環でビットコイン(BTC)を購入することを発表した。発表によると、「第9回新株予約権の譲渡の承認に関するお知らせ」にて調達した資金でビットコインを購入する。
メタプラネットはホテル運営を柱として、Web3.0やブロックチェーンを活用したビジネスと投資を行っている。
ビットコインの購入総額は10億円。ビットコインや暗号資産(仮想通貨)に精通した戦略的パートナーによるあらたな出資により実現したものであると説明している。
今回の発表を好感視し、株価は急騰。記事執筆時点では一時前日比約100%の上昇となる39円の値をつけた。
ビットコインを購入する背景としては、過去数年に及ぶ円安、長年に渡るマイナス金利政策の影響で、日本円の世界における主軸通貨としての位置付けが著しく弱まっていることをあげている。
その一方で、ビットコインやそのほかの暗号資産については、当初の懐疑的な見方とは裏腹に、年を増すごとに存在感を強めている。今ではエルサルバドルのように公的通貨として採用する国も存在するほど普及しているとメタプラネットは指摘する。
ビットコインはボラティリティこそ大きくなる傾向があるものの、その価値は過去10年で着実に上昇している。そのため、流動性の高い長期主力通貨として、日本円に換算してもその価値を維持することが広く期待されていると述べている。
メタプラネットは、新株予約権の行使により約9億3,500万円の資金を調達することとなった。米国を中心としたいくつかの上場企業の動向にみられるような、調達した資金をキャッシュ・マネジメント戦略の一環として、ビットコインに投資・保有することで保有通貨を分散し、日本円のエクスポージャーを低めた自己ポジションを構築するという。
ビットコインに投資を行う企業としては、米インテリジェンス企業マイクロストラテジー(MicroStrategy)が有名で、3月時点で約21万4,246BTC(約2兆3,200億円相当)を保有している。ビットコインは長期的にみた場合に価値が恒常的に上昇しており、長期保有に適していると考え、メタプラネットも同様の戦略をとる形となる。
メタプラネットがビットコインの購入を決めた理由としては、米国で承認されたビットコイン現物ETFの存在も大きい。今後さらなる資金流入が予想されるほか、2,100万BTCという発行上限が設けられていることで、需要と供給の原則に基づいて評価される資産クラスであると述べている。
さらに、世界経済において不確実性が高まっているなか、ビットコインはどの国の経済や景気にも縛られない資産として際立っており、「究極のセーフハーバーとして機能する」と表現している。
今後、メタプラネットはビットコインの保有残高を四半期ごとに時価評価し、評価損益を損益計算書の特別項目に計上する。また、四半期業績に著しい影響が発生した場合には速やかに開示する予定だ。
参考:発表1、発表2
画像:Shutterstock
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