2014年に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所Mt.Gox(マウントゴックス)の弁済期限が、2026年10月31日(土)に迫っている。15日時点で、再生管財人の小林信明氏から期限の延長や手続きの終結に関する発表は出ていない。
Arkham Intelligenceのデータによると、Mt.Gox関連のウォレットには9月30日時点で約3万4,388BTCのビットコイン(BTC)が残っている。今月14日の価格(1BTC=約8万3,400ドル、1ドル=約158円)で換算すると、約28.7億ドル(約4,500億円)に相当する。
弁済期限は、2023年10月の当初期限から3度延長されてきた。発表日は2023年9月21日、2024年10月10日、2025年10月27日で、期限までの日数は約40日、21日、4日と年々短くなっている。いずれも裁判所の許可を得たものだ。
2024年と2025年の告知は、必要な手続きを終えていない債権者や、弁済プロセスで生じた問題により未受領の債権者が相当数いることを延長の理由にあげている。なお、管財人によると、BTCとビットコインキャッシュ(BCH)で弁済を受けた債権者は2025年3月時点で19,500人を超える。
これまで延長の対象となってきたのは、基本弁済、早期一括弁済、中間弁済の期限だ。再生計画には、係争中の債権が確定した後に行う「最終弁済」が別途定められている。
民事再生法188条3項は、管財人が選任されている場合、再生計画が遂行されたとき、または遂行されることが確実と認められるに至ったときに、裁判所が手続きの終結を決定すると定める。最終弁済が残る以上、10月31日を過ぎても手続きは続く可能性が高い。
また、管財人は2022年10月の告知で、弁済方法の選択と弁済先情報の登録を期限までに完了しなかった債権者は、本店などで日本円の現金による弁済を受けることになり、受け取れない場合は弁済額が法務局に供託されると説明している。あわせて、弁済期限が早まったなどと偽って偽サイトへ誘導するメールに注意も呼びかけている。
一方、「期限後は権利が没収される」とする一部海外報道の記述は、管財人の公開告知では確認できない。
前述の残高約28.7億ドルは、米国のビットコイン現物ETF(上場投資信託)の9月の純流入額(SoSoValue集計で約26.5億ドル)とほぼ同じ規模だ。
2024年7月に弁済が始まった際、BTCは一時54,000ドルを割り込んだ。しかし、同時期にはドイツ・ザクセン州による押収BTCの売却も重なっていた。CryptoQuant CEOのキ・ヨンジュ氏は、Krakenで債権者への配布後も現物取引量の急増はみられなかったと指摘しており、同社のデータではむしろKrakenからの出金(外部ウォレットへの移動)が増えていた。
一方、2026年6月2日には約1万300BTCがコールドウォレットから移動し、BTCの価格は同月4日に約3ヵ月ぶりに10,000,000円を割り込んだ。この週はストラテジー(旧マイクロストラテジー)によるBTC売却や米国の雇用統計なども重なっていたことも要因と考えられる。移動したBTCの大半はあらたなアドレスにとどまっており、取引所へのまとまった入金は確認されていない。
なお、日本の暗号資産規制はMt.Goxの破綻を契機に2017年の交換業者登録制へと進み、2026年7月には暗号資産を金融商品として扱う改正金融商品取引法が成立した。IoliteはVol.21の特集「暗号資産取引所の生存戦略─金商法移行後の新秩序─」でも、同法への移行後の取引所の姿を報じている。
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