カザフスタンの中央銀行であるカザフスタン国立銀行は15日、CBDC(中央銀行デジタル通貨)「デジタル・テンゲ」のパイロット版でリテール決済を初めて実施したことを発表した。
カザフスタン国立銀行は、カザフスタンの大手銀行とその顧客に参加を募り、デジタル・テンゲプラットフォームをパイロット版として立ち上げた。銀行のモバイルアプリケーションでデジタル口座を開設することで、銀行の顧客らはデジタル・テンゲの使用が可能になるという。
デジタル口座間での決済・送金に加え、アルマトイ市行政と連携して導入した「デジタルバウチャー」を活用し、社会支援策の枠組みにおける自動決済をスマートコントラクトを用いて実施した。デジタルバウチャーとは、スマートフォンを使って割引クーポンを発行できるサービスだ。
また、参加銀行は国際決済システムと連携してデジタルカードを発行している。ほかの銀行における既存の決済インフラとのシームレスな統合により、デジタル・テンゲの決済と送金を行うことが可能となったという。
今後、2025年末までにサービスや利用場面、プラットフォーム参加者の環境を拡充し、デジタル・テンゲの完全導入を目指すという。
カザフスタン国立銀行は今年9月、デジタル・テンゲの開発と導入を主導する組織を設立したことを公式に発表した。国民決済公社(NPC)は、カザフスタン銀行間決済センターを再編したものであるとという。この新組織は、銀行間清算サービスや送金、デジタルIDを含む国家決済システムを監督するものと述べていた。
プロジェクトにはバイナンスも参加
デジタル・テンゲの開発は、2021年にカザフスタン国立銀行が金融市場参加者、専門家コミュニティ、国際パートナーである暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)と協力し、デジタルパイロットプロジェクトとして発表された。
昨年には、デジタル・テンゲを導入する際の利点とコストについて研究。同年6月には、デジタル・テンゲ協力プラットフォームが立ち上げられた。
また大統領主導で、デジタル・テンゲの導入に関する意思決定フレームワークも開発。カザフスタンにおけるCBDC創設の必要性に関する推奨決定を策定し、関連する包括的な調査を行い、デジタル・テンゲの導入によって得られるメリットとコストを判断した。
今年2月にはデジタル・テンゲの開発が開始された。さらに、6月にはバイナンスがカザフスタンのフリーダム・ファイナンス・バンクと提携して規制されたデジタル資産のプラットフォームを立ち上げ、ユーザーがプラットフォーム上の自分の口座に法定通貨を送金できるようにすると発表していた。
参考:発表
画像:Shutterstock
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