ノルウェー政府が、国内のビットコイン(BTC)マイニング事業の縮小化に向け、データセンター業界の規制を目的とした新法を導入する意向を発表した。
これはノルウェーメディア・VGがカリアンヌ・トゥン(Karianne Tung)デジタル化大臣とテリエ・アスランド(Terje Aasland)エネルギー大臣の声明を引用して報じた。
新法案では、データセンター事業者に対して規制当局への登録を義務付ける。規制の主な目的は、ノルウェー政府が「環境への影響」により望ましくないとみなしているマイニングなど特定のプロジェクトの活動を防止することにある。
トゥン氏は政府の立場について詳しく説明し、「目的は、我々が望まないマイニングなどのプロジェクトの扉を閉め業界を規制することである」と述べた。
トゥン氏とアスランド氏はともに、国内におけるビットコインマイニング事業の存在に明確な反対姿勢を表明している。報道によれば、「業界は今までまったく規制されていなかった。しかし、データセンターを監視し、制御することは可能だろうか?」と述べ、監視の実現可能性に疑問を抱いているという。
ノルウェーは数年前からエネルギー消費が環境に悪影響を与えるとして、ビットコインを始めとした暗号資産(仮想通貨)のマイニングに対して厳しい姿勢をとってきた。エネルギー消費への懸念を理由に、ビットコインの禁止を求めるEU加盟国のスウェーデンの提案を支持している。
欧州では今年7月より段階的に暗号資産に関する規制法「MiCA(暗号資産市場規制法)」が施行されるが、法案には一時ビットコインなどのマイニングを禁止する文言が含まれ物議を醸した。EU(欧州連合)としてはマイニングを禁止することはなくなったものの、ノルウェーは単独で規制することとなった。
これに関連した動きとして、スウェーデンはマイニング業者の撤退を目的として2023年にデータセンターへの増税を実施している。アスランド大臣は、「マイニングは大量の温室ガス排出に影響を与えている。我々がノルウェーに望まないタイプのビジネスである」と述べ、改めて規制の正統性を強調した。
マイイングを推進する国も
ノルウェーではマイニングを取り締まる動きが加速しているが、その反面、推進する国もある。
ビットコインを法定通貨に定めたエルサルバドルでは、火山熱を活用したビットコインマイニングプールが昨年発表されている。
また、ブータン王国では先日、ビットコインの半減期に備えマイニング能力を6倍に増強することが明らかになっている。
新興国やエネルギー資源が豊富な国を中心に、マイニングを国家の収入源の1つとする動きがみられており、今後も規制に関する動きとあわせて対極化していく可能性がある。
参考:報道
画像:Shutterstock
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